パッとわかる!ヤマボウシの育て方
- 西日など極度の暑さを避け、日当たりが良く風通しの良い場所に植えましょう。
- 水やりは乾いたら与えるぐらいで十分です。
- 大きくなり過ぎる場合は剪定をしますが、そのままでもよく育ちます。
ヤマボウシは春に緑の葉が茂り、夏にきれいな花が咲き、秋には赤い実と紅葉を楽しむことができる素敵な木です。
公園樹や街路樹として、個人宅やお店のシンボルツリーとしても人気があります。
地植えなら、適した時期に植え付けをするだけで、水やりや剪定も神経質にならなくても済むヤマボウシは初心者向きです。
この記事では、ヤマボウシの育て方と管理のポイントをご紹介します。
ヤマボウシの詳細情報
植物名 | ヤマボウシ |
学名 | Cornus kousa Bureger ex Aance subusp. |
英名 | Kousa Dogwood Japanese Flowering Dogwood |
科名 | ミズキ科 |
属名 | ヤマボウシ属 |
園芸分類 | 落葉高木、(常緑性のものもある) |
形態 | 高木 |
樹高 | 5~15m |
原産地 | 中国、朝鮮半島、日本 |
開花期 | 6月中旬~7月中旬 |
花色 | 白、ピンク、帯緑色 |
耐寒性 | 普通 |
耐暑性 | 普通 |
ヤマボウシは中国、朝鮮半島、日本などアジアが原産の高木です。
落葉樹が主流ですが、常緑樹もあります。
夏には白やピンク、クリーム色の花が咲きます。
大きな木にたくさんの花が咲く姿は見応え十分です。
ヤマボウシを大きく立派に育てるのもいいですが、自宅でおしゃれに仕立てたいならば、上手に剪定すれば小ぶりに育てることもできますよ。
花びらと思われている部分は、実は総苞片(そうほうへん)という葉の一種。
この4枚の総苞片は白やピンク、クリーム色で若葉によく映えます。
ヤマボウシには9月ごろ赤い実がなります。
このイボイボのついた赤い実は、生であるいはジャムにして食べることができます。
ヤマボウシという名前の由来は、総苞片の真ん中にある球形の花を僧侶の頭に見立て、総苞片は頭巾に見えることから「山法師」と呼ばれるようになりました。
ヤマボウシと見間違えられることがあるハナミズキはヤマボウシと違って、花びらに切れ込みがあることと、花の時期が4月~5月とヤマボウシよりも早いことで区別することができます。
ヤマボウシとハナミズキの違いは、こちらの記事で詳しく解説しています。
ヤマボウシの育て方|購入から植え付けまで
入手方法と販売時期
ヤマボウシの苗は園芸店やホームセンターで買うことができます。
苗木として出回るのは11月~6月ぐらいまでです。
植え付け時期は落葉ヤマボウシは12月上旬~3月上旬が適当ですが、常緑ヤマボウシの場合は3月、6月上旬~7月上旬、9月~10月に植え付けましょう。
また、ネット通販を利用すればいつでも手に入りますが、植え付けの時期に合わせて購入するのがおすすめです。
背丈と太さのバランスの良いもので、節間が広すぎないものを買い求めましょう。
用土
ヤマボウシは土地が肥えていると花付きが良くなるので、植え付け前に腐葉土や堆肥をすき込みましょう。
ヤマボウシは水はけがよく、保水力もある土を好みます。
鉢植えで育てるなら、市販の園芸用培養土でも大丈夫です。
植え付け・植え替え
ヤマボウシの植え付けは落葉している時期に行います。
ただし、厳寒期は避けましょう。
腐葉土や堆肥を混ぜ込んだ鉢や地面に苗の鉢の倍ぐらいの穴を掘り、苗を植え付けます。
その後は、たっぷりと水やりをしましょう。
最初は苗がぐらつくことがありますが、支柱を立てておくときれいにまっすぐに伸びます。
特に剪定をしないなら、10~15mにまで成長するので、植え付ける場所も慎重に選びましょう。
地植えの場合は、一度植えると植え替えが難しいです。
鉢植えの場合は、根詰まりしてきたら、植え替えます。
日当たり・置き場所
ヤマボウシは日当たりが良い場所で、水はけも良いところを好みます。
ただし、真夏に長時間西日が当たるところは避けてください。
ヤマボウシの育て方|日々のお世話
水やり
ヤマボウシは地植えでしっかり根付いた後は、特に乾燥する時期を除いて、水やりの必要はありません。
鉢植えの場合は、土の表面が乾いてきたら、たっぷりと水やりをしましょう。
肥料
ヤマボウシは土が適度に肥えていれば、ほとんど肥料は不要です。
もし、与えるなら冬から春の初めに緩効性の肥料化有機質肥料を根の周りに数か所穴を掘って埋めましょう。
剪定・切り戻し
ヤマボウシは自然に樹形が整いやすいので、大掛かりな剪定は必要ありません。
しかし、地植えでは大きくなり過ぎるのを防ぎ、鉢植えの場合は程良い大きさで見た目もきれいにしておくための剪定が必要です。
また、風通しや日当たりをよくするためにも軽い剪定をしましょう。
ヤマボウシの剪定時期は落葉している11月~2月が適しています。
ヤマボウシの剪定のコツは、枝の先ついている花芽や葉芽を落さないようにすることと、枝分かれしているところを根本部分から切ることです。
大掛かりな剪定をしないためには、その都度、軽い剪定をしてきれいな形に整えておきましょう。
ヤマボウシの剪定に困ったら、プロに頼むのが安心です。
夏越し
ヤマボウシは強すぎる日光には弱いので、あまり日が当たり過ぎるところを避けて植え付けることが大事です。
冬越し
落葉ヤマボウシは耐寒性は普通で、本州以南ならば冬場も葉が落ちた状態で冬越しできます。
常緑ヤマボウシの場合は落葉することはありませんが、耐寒性はやや弱く、−5度~−8度です。
それ以下に冷え込むところで常緑ヤマボウシを育てるのは難しいです。
病害虫
ヤマボウシは雨が続いた時には、うどんこ病やスス病が発生することがあります。
見つけたら傷んだ葉を摘み採り、薬剤をかけて木全体に広がるのを避けましょう。
ヤマボウシは風通しが悪いと病気になりやすいので、適度に枝を落すことも必要ですね。
まれには、カミキリムシの幼虫に食い荒らされることがあります。
もし木のくずが落ちていたらカミキリムシの幼虫がいる可能性があるので、見つけ次第駆除しましょう。
ヤマボウシの増やし方
ヤマボウシは挿し木や株分け、種まきなどで増やせます。
初心者なら、ホームセンターなどで苗を買ってきて植え付けるのが簡単でいいですね。
しかし、秋に種取りをして翌年の3月ごろ種まきをして増やすこともできます。
一本の木にはかなりたくさんの実がなりますから、種をまけば相当数のヤマボウシを増やすことができるわけです。
種まきをした場合には、発芽するまで水を欠かさずに与えることが大事です。
また、種まきをすると、花が咲くまでに7~8年かかりますから、根気よくお世話をする必要があります。
まとめ
ヤマボウシは春から夏にかけて緑の葉に包まれ、夏にはきれいな花を咲かせ、秋には紅葉を見せてくれます。
赤い実を収穫することもできるので、スリーシーズン楽しめる高木樹です。
特に水やりを気にすることもなく、剪定しないで自然に伸びるままにすることもできます。
この素敵な花と実の付くヤマボウシを、シンボルツリーとして庭に植えてみるのも良いのではないでしょうか。