パッとわかる!サルビア・スクラレア(クラリーセージ)の育て方
- 日当たりのよい環境で育てる。
- 多湿と蒸れがとにかく苦手なので、剪定は枝の間を風が気持ちよく吹き抜けるくらいを目安に。
- 寒さに強いので寒い地域では宿根草として育てられ、暖かい地域では一年草や二年草として育てます。
サルビア・スクラレア(クラリーセージ)は大きくて美しく存在感のあるハーブです。
夏の湿気に弱いですが種からも苗からも育てやすく、こぼれ種で次の年も花を咲かせてくれます。
葉っぱやお花をポプリやハーブバスにして楽しむこともできます。
この記事では、サルビア・スクラレアの育て方について、ガーデニング初心者の方でもわかりやすく解説しました。
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サルビア・スクラレア(クラリーセージ)の詳細情報
植物名 | サルビア・スクラレア(クラリーセージ) |
和名 | オニサルビア |
学名 | Salvia sclarea |
英名 | clary sage、clary wort、garden clary |
科名 | シソ科 |
属名 | アキギリ(サルビア)属 |
園芸分類 | ハーブ |
形態 | 耐寒性多年草(または二年草) |
樹高 | 100cm〜130cm |
原産地 | 地中海地域から中央アジアおよびヒマラヤ西部 |
開花期 | 6月〜7月頃 |
花色 | 白、ピンク |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
サルビア・スクラレア(クラリーセージ)は100cmほど茎がまっすぐ伸び、その先にピンクや白の美しい花を咲かせます。
宿根サルビアのなかでも大きな種類のサルビア・スクラレアは、日本では「オニサルビア」と呼ばれています。
葉っぱもとても大きく30cm以上になることがあります。
庭にたくさん咲いた大きく美しいサルビア・スクラレアは見応え満点です。
サルビア・スクラレアの形態は宿根草ですが、高温多湿に弱い性質があり暖かい地域では夏に枯れてしまいます。
そのため秋まきの一年草や二年草、寿命の短い宿根草として扱われます。
寒さには強いため寒冷地域では宿根し、翌春にはまた新芽が出ます。
ただし、多くは開花後にたくさんの種をつけます。
温暖地域で枯れてしまってもこぼれ種で翌年にまた花を楽しむことができますよ!
サルビア・スクラレアはマスカットに似た強い香りを持ち、香水などの香料として使われています。
お家で楽しむ方法としては、葉っぱを乾燥させてポプリにしたり、若くて柔らかい葉をフリッターにして砂糖をかけて食べたり、咲いてすぐの花を摘んでハーブバスにするなどがあります。
サルビア・スクラレアにはいくつかの品種があり、特に大きなトルケスタニカ(バチカンクラリ)や草丈の低い「バチカンホワイト」という品種などがあります。
サルビア・スクラレア(クラリーセージ)の育て方|購入から植え付けまで
入手方法と販売時期
サルビア・スクラレア(クラリーセージ)の種や苗はハーブ苗専門店やハーブ園、園芸店やホームセンター、インターネット通販などで購入できます。
サルビア・スクラレアの種はいつでも購入でき、苗は春や秋に店頭に並びます。
サルビア・スクラレアの苗を選ぶ時は葉っぱの緑がつやつやしていて、株の見た目がしっかりしたものを選びましょう。
用土
サルビア・スクラレア(クラリーセージ)は水はけと水持ちのバランスがとれた、風通しのよい有機物が豊富な土を好みます。
庭植えの場合
庭土:腐葉土(または堆肥)=7:3に緩効性肥料を少しをよく混ぜ合わせます。
サルビア・スクラレアは弱アルカリ性を好むため、土壌調整が必要な場合があります。
土壌調整する場合は、植え付けの2週間前に植え穴を掘り、掘り返した土に苦土石灰を混ぜて寝かせます。
ただし弱酸性でも育つため厳密になりすぎなくても大丈夫です。
鉢植えの場合
サルビア・スクラレアを鉢に植える場合は、市販のハーブ専用培養土か草花用培養土を使います。
自分で配合する場合は、赤玉土:腐葉土(または堆肥)=7:3に緩効性肥料を少し混ぜ合わせましょう。
種まき
サルビア・スクレア(クラリーセージ)の種まきは地域によって異なり寒い地域では4月~6月頃、暖かい地域は9月~10月頃に種をまきます。
一般的には春まきだと1年後の6月頃に、秋まきは2年後の春から初夏に花が咲きます。
サルビア・スクラレアの発芽適温は15~20度で、種まきから7日~21日で発芽します。
サルビア・スクラレアは庭に直接まくか育苗ポットや鉢に種まきします。
種まき場所 | 土の種類 |
---|---|
庭に直播き | 庭土:腐葉土(または堆肥)=7:3に緩効性肥料を少し |
鉢 | ハーブ専用の土 または赤玉土:腐葉土(または堆肥)=7:3に緩効性肥料を少し |
育苗ポット | 種まき用の土 バーミキュライト ハーブ専用の土 |
庭に直接種をまく場合は、あらかじめ種まき場所の土を耕し、準備しておきます。
鉢には市販のハーブ専用培養土を、育苗ポットには種まき用の土かバーミキュライトを使います。
どの土の場合もあらかじめ湿らせて、種まき後の水やりで種が流れることを防ぎましょう。
サルビア・スクラレアの種5個程度をパラパラと重ならないようにまきます。
サルビア・スクラレアは好光性種子のため、種に被せる土は日光をうっすら通すくらい、薄く土を被せてください。
種まきしたあとは明るさのある日陰に置き、種が乾燥しないように土が乾いてきたら霧吹きなどで水やりしましょう。
芽が出てきたら生育の悪い目を間引き、元気な芽を残します。
庭へ直まきや鉢に直接種まきした場合は、少しずつ間引いて最終的に株間を60cm以上になるよう整えてください。
育苗ポットの場合は1ヶ月後、本葉が5枚程度生えてポットの底から根っこが見えてきたら、庭や大きな鉢に植え替えます。
植え付け・植え替え
サルビア・スクラレアの苗の植え付けは3月〜5月頃か9月〜10月頃が適しています。
3月〜5月の植え付けたあとの夏の間は、乾燥ぎみを意識しつつ水切れしないよう注意してください。
サルビア・スクラレアはとても大きく育つため、鉢植えよりも庭植えがオススメです。
植え付け
サルビア・スクラレアは横にも縦にも大きくなるため、広い場所や大きな鉢に植え付けます。
庭に植える場合
サルビア・スクラレアは日当たりを好むため1日6時間、最低でも3時間以上日光の当たる場所を確保しましょう。
2つ以上の苗を植え付ける時は、株と株の間を60cm以上あけましょう。
鉢に植える場合
サルビア・スクラレアを鉢に植える場合は、10号以上の大きな鉢にしてください。
植え替え
サルビア・スクラレアは鉢植えの場合に植え替えが必要です。
植え替えは1~2年に1回を目安に、3月~5月頃か9月~10月頃に植え替えてあげましょう。
サルビア・スクラレアは大きく育つため、鉢植えでは根詰まりを起こしますので注意してください。
植え替える時は1回りか2回り大きな鉢を用意し、新しい土に植え替えましょう。
日当たり・置き場所
サルビア・スクラレア(クラリーセージ)は日光が6時間以上当たる日当たりのよい場所を好みます。
最低でも1日3時間の日照を確保してあげましょう。
最適な日照環境があると光合成がどんどん進み、株が健康に育って花もたくさんつきます。
サルビア・スクラレア(クラリーセージ)の育て方|日々のお世話
水やり
サルビア・スクラレア(クラリーセージ)の水やりは少し控えめのやや乾燥気味に行います。
地植えの場合
庭に植えたサルビア・スクラレアは自然に降る雨で十分育ちます。
日照りなどで極端に土が乾燥し、葉っぱが萎れている場合は水をたっぷりとあげましょう。
鉢植えの場合
サルビア・スクラレアを鉢に植えた場合は、土が乾燥したのを確認してからたっぷりのお水をあげます。
サルビア・スクラレアは多湿に弱く、土が常に湿っていると根腐れしてしまいます。
「やや乾燥させる」ことを意識してあげましょう。
肥料
サルビア・スクラレア(クラリーセージ)は一般的な草花が育つ土であれば、肥料はあまり必要としません。
有機物の少なくなった古い庭土や鉢植えの場合は、開花前の4月〜5月頃に肥料を与えます。
地植えの場合
やせ地でも丈夫に育つので肥料は元肥のみでも大丈夫です。
それ以降は特に必要ないですが、株の様子を見て追肥しましょう。
鉢植えの場合
開花前に液体肥料を1ヶ月に1回程度、開花中はリン酸の多く含まれる肥料を与えると花色がよくなります。
土を自分で配合した場合は元肥に少しの緩効性肥料を与えます。
剪定・切り戻し
サルビア・スクラレア(クラリーセージ)の剪定は、3月〜4月頃と6月〜7月頃、9月〜10月頃の3回行います。
3月~4月頃の剪定
サルビア・スクラレアの古い枝を根元からカットして整えます。
高く伸びた新しい枝もカットし、枝先の芽を摘んであげると新しく枝が分かれ花つきも増えてきます。
6月~7月頃の剪定
梅雨から夏の雨の多い間は多湿に注意してこまめに剪定してください。
葉や茎が繁っていると蒸れの原因になるので、風が吹き抜けるくらいカットして風通しをよくします。
花が咲き終わったら花穂という花の房ごと切り取ると、秋にまた花を咲かせてくれます。
種を採取したい場合はいくつかの花がらを残しておきます。
9月~10月頃の剪定
サルビア・スクラレアの弱ったり枯れたりした枝葉を取り除いて、冬越しするための根っこの負担を減らしてあげましょう。
夏越し
サルビア・スクラレア(クラリーセージ)は暑さに強いですが多湿に弱く、日本の高温多湿の夏に枯れてしまうことが多いです。
サルビア・スクラレアの夏越しは株が蒸れないように、咲き終わった花穂を切り取ることで風通しをよくしてください。
庭のサルビア・スクラレアは株の風通しをよくします。
鉢植えの場合は水やりに注意し、土が乾燥してからたっぷりの水をあげましょう。
降雨が多い場合は雨のかからない場所に移しますが、午前中は日に当てるなど日照時間も確保します。
冬越し
サルビア・スクラレア(クラリーセージ)は寒さに強く、−18℃まで耐えられます。
関東以西では冬越しで注意することは特にありません。
関東以東の地域で極端に寒く土が凍ってしまう場合は、根っこが凍らないようワラや腐葉土でマルチングします。
病害虫
サルビア・スクラレア(クラリーセージ)は病害虫の被害に遭いにくい植物ですが、まれに以下の病害虫の被害に遭うことがあります。
- うどんこ病
- 灰色カビ病
- 根腐れ病
- アブラムシ
- ハダニ
うどんこ病
うどんこ病は葉っぱに白い粉のようなカビが原因の病気です。
気温17℃〜25℃くらいの時期に発生しやすく、梅雨明けした頃に注意してください。
葉っぱがうどんこ病になると光合成が上手くできなくなり、放っておくと枯れてしまいます。
うどんこ病になった葉っぱは枝から切って取り除き、感染拡大を防ぎましょう。
その他の対策として葉水をすると予防になり、重曹やお酢を水で薄めて吹きかけると進行を抑えることができます。
灰色カビ病
灰色カビ病は咲き終わった花がらや、傷ついた葉っぱなどに発生するカビが原因の病気です。
湿気が90%以上で気温が15℃以上の時期に発生しやすいです。
灰色カビ病になった花や葉っぱは灰色に変色し、しおれて枯れてしまいます。
多湿の時期は枝葉をこまめに整理して、風通しをよくしましょう。
灰色カビ病になった花や葉っぱは取り除いて処分します。
すべて取り除いたら他に感染が広がらないよう、重曹を水で薄めて吹きかけたり、石灰を土と株に直接ふりかけます。
根腐れ病
根腐れ病は土の温度が10℃くらいで、秋から春に発生しやすいカビが原因の病気です。
根腐れ病になった植物は葉っぱが黄色や茶色に変色し、根っこも茶色や黒になり1日中しおれた状態が続きます。
土の中にいるカビが根っこを腐らせてしまうため、吸水できずに枯れてしまいます。
他の病気に比べて発見が遅れやすく発生してしまったら治療はできないため、株ごと袋などに入れて処分します。
根腐れ病のカビは土の中で最大5年生きるため、葉や根が落ちて残らないよう注意してください。
アブラムシ
アブラムシは体長2mmくらいの小さな虫で、黄緑色や赤や黒など色々な種類のアブラムシがいます。
アブラムシは葉っぱの裏に住み着いて植物の養分を吸い取ってしまいます。
アブラムシがまだ少ない場合は、牛乳を水で薄めたものを吹きかけて駆除します。
アブラムシの光に弱い性質を利用して、土の上にアルミホイルなどを敷いておくと予防になります。
サルビア・スクラレア(クラリーセージ)の増やし方
サルビア・スクラレア(クラリーセージ)は種の採取と挿し木で増やすことができますが、地域によって変わります。
関東以東は挿し木できますが、関東以西は種の採取で増やします。
種まき
サルビア・スクラレアの種は、咲き終わった花がらをそのままにしておくと種ができて採取できます。
サルビア・スクラレアの挿し木は4月〜5月頃と10月頃が適しています。
挿し木
サルビア・スクラレアの挿し木には、勢いのある若い枝を挿し穂に選びます。
挿し穂の長さは15cmくらい、斜めにカットしてください。
カットした挿し穂は土に挿す部分の葉っぱを切り取り、水上げを1時間程度行います。
挿し床にはあらかじめ湿らせた挿し木用の土を入れておき、挿し穂を挿します。
挿し木用の土の代わりにバーミキュライトや赤玉土を使っても大丈夫です。
挿し木ができたら木漏れ日くらいの明るさのある日陰に置き、水切れしないよう水やりします。
うまくいけば3週間ほどで発根するので、元気な葉っぱが生えてきたら庭や鉢に植え替えてあげましょう。
まとめ
サルビア・スクラレア(クラリーセージ)の育て方を紹介しました。
太陽の光をたっぷり浴びる環境で、多湿にならないように剪定をこまめにしてあげると、見ごたえのある花を咲かせてくれます。
サルビア・スクラレアは夏に枯れてしまうこともありますが、こぼれ種でも増えるのでぜひ挑戦してみてくださいね!