パッとわかる!観賞用トウガラシの育て方
- 水切れしないように、毎日土の表面をチェックする
- 花と実をたくさんつけるために、鑑賞期間中の肥料は定期的に与える
- 冬越しさせるなら、耐寒温度5℃以上の寒風と霜があたらない場所へ
- 連作障害が出るので新しい土で育てる
観賞用トウガラシはつやつやとしたカラフルな実をたくさん実らせる植物。
一つの株で、赤・黄色・紫など色違いの実をつけます。
観賞用トウガラシには食用のトウガラシと同じ細長い実をつける品種だけではなく、ころんとした丸い実をつける品種や、斑入りの葉を持つ品種もあります。
鑑賞用トウガラシは初心者にも育てやすく、簡単な管理で長く鑑賞できる植物です。
今回は、観賞用トウガラシの育て方と管理のコツをお伝えします。
\タップで読みたいところに飛べます/
観賞用トウガラシの詳細情報
植物名 | 鑑賞用トウガラシ |
学名 | Capsicum annuum |
英名 | Ornamental pepper |
科名 | ナス科 |
属名 | トウガラシ属 |
園芸分類 | 草花、熱帯植物 |
形態 | 多年草(一年草) |
樹高 | 20cm~100cm |
原産地 | 熱帯アメリカ |
開花期 | 6月~12月 |
花色 | 白 |
実の色 | 赤、オレンジ、黄色、紫 |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
観賞用トウガラシはナス科トウガラシ属の植物で、食用トウガラシとは違い、観賞することを目的として作られた品種です。
食用にするための安全性が確かではないため、観賞用トウガラシの実は食べてはいけません。
観賞用と名前にある通り、実の色が徐々に変化していくので、観察するのが楽しい植物です。
品種によって違いはありますが、薄黄色や緑の実が、紫や橙、赤色などに変化していきます。
そのため、鑑賞用トウガラシはゴシキトウガラシとも呼ばれます。
熱帯地域が原産の植物なので、暑さには強く、寒さには弱いです。
鑑賞用トウガラシの耐寒温度は5℃、寒風や霜にあたると枯れてしまいます。
日本での冬越しは難しく、一般的に一年草として扱われます。
観賞用トウガラシの育て方|購入から植え付けまで
入手方法と販売時期
観賞用トウガラシの苗の購入時期は5月から10月ごろです。
観賞用トウガラシは園芸店やホームセンターで簡単に入手できます。
冬まで鑑賞できるので、植え付けの時期を過ぎてからも販売されている場合があります。
日本ではハロウィン向けに販売されることが多いので、秋頃にも入手が可能です。
鑑賞用トウガラシを秋以降に購入した場合、花や実を楽しめる期間が短くなるので注意しましょう。
用土
観賞用トウガラシは保水性と水はけが良く、栄養豊富な土で育てます。
鉢植えで育てるなら市販の培養土か、赤玉土小粒と腐葉土を6:4で配合した土で育てます。
鑑賞用トウガラシには元肥が必要なので、元肥入りの培養土がおすすめです。
地植えする場合は、植え付けの1週間前に腐葉土と堆肥をすき込んでおきます。
観賞用トウガラシは連鎖障害が起きる植物です。
前年にナス科の植物を植えていた場合、同じ土を続けて使うと連鎖障害が起きるので、新しい土を使って育てます。
植え付け・植え替え
観賞用トウガラシの植え付けは、5月から8月の間に行います。
観賞用トウガラシは鑑賞期間が長い植物ですが、気温が低いうちに植えると植え付け後の生育が遅くなり、8月以降に植え付けた苗は実がつきにくくなります。
ですから、株を育てながら多くの実を長く楽しみたいなら、5月から6月の間の植え付けがおすすめです。
観賞用トウガラシは根鉢を崩して植えると根が伸びやすくなり、大きな株に育ちます。
株を大きくしたくない場合は根鉢を崩さずに植えましょう。
鉢植えの場合は根鉢より一回り大きな鉢に植え付けます。
地植えやプランターに植える場合の株間は20cmが目安ですが、大きくなる品種は株間を30~40cm開けます。
観賞用トウガラシは根が良く伸びるので、7月から8月の間に植え替えが必要です。
日当たり・置き場所
観賞用トウガラシは、日当たりと風通しが良い場所で育てます。
特に鑑賞用トウガラシにとって日光は大切です。
日照不足では花つきが悪くなったり、実が痩せたまま育たなくなってしまうので、十分に日の当たる場所で管理します。
暑さには強い植物ですが、水切れすると元気がなくなります。
真夏で日差しが強すぎる場合は、土壌の乾燥を防ぐために半日陰に移動させても良いです。
観賞用トウガラシの育て方|日々のお世話
水やり
観賞用トウガラシは、水切れしないように管理します。
根が浅く張る植物なので、乾燥すると萎れてしまったり、最悪の場合枯れてしまいます。
地植えでも、降雨だけでは足りない場合は水やりが必要です。
特に夏場やは土が乾きやすいので、朝の水やりだけでなく、夕方以降も土の表面が乾いていたらたっぷり水やりをします。
梅雨前でも、急な夏日や気温が高い日が連日続く場合は夕方に土の状態を確認しましょう。
土が乾きすぎる場合は敷き藁などで表面を覆って乾燥を防ぎます。
葉が萎れていたり、実がしわしわになっていたら水不足の可能性があります。
乾燥に弱い鑑賞用トウガラシですが、多湿にも弱く根腐れするため、過度な水やりは禁物です。
鑑賞期間中は土の表面や株の状態を見て、水やりの頻度を調節して下さい。
肥料
観賞用トウガラシは、花と実を数多くつけるために、元肥と追肥が必要です。
5月から8月の間の植え付け時には、堆肥や緩効性化成肥料を元肥として施します。
追肥は5月から9月の鑑賞期間中、定期的に施します。
月に一度、緩効性化成肥料を置肥するか、液体肥料を2週間に一度与えます。
剪定・切り戻し
観賞用トウガラシは、実がシワシワになってきたら、茎の根本を切ります。
株が大きくなり、伸びすぎた枝や混み合っている部分が気になるのであれば、その部分を切り戻すと、きれいな草姿を保つことができます。
夏越し
観賞用トウガラシは、夏越し対策が必要ない植物です。
ただし、水切れしないように土の確認と水やりは毎日忘れずに行います。
冬越し
観賞用トウガラシは、冬越しが難しい植物です。
暖地や室内・温室に取り込めば冬越ししやすくなります。
鑑賞用トウガラシは寒風や霜に当たると枯れてしまうので、気温が下がる前に取り込みます。
耐寒温度は5℃以上ですが、葉を枯らさず株を維持するには12℃以上の環境が必要です。
冬場の水やりのタイミングは土の表面が乾いてから2、3日後が目安です。
暖房の風が当たると乾燥してしまうので、暖房から離した暖かい場所に置きます。
病害虫
観賞用トウガラシの栽培中は、アブラムシやハダニの発生に注意します。
どちらも5月から10月頃まで、鑑賞用トウガラシの葉につきやすい害虫です。
発生初期であれば手やテープなどで取り除き、数が増えてきた場合は薬剤散布で対処可能です。
観賞用トウガラシの増やし方
鑑賞用トウガラシは、収穫した種で増やせます。
萎れた鑑賞用トウガラシの実を切り取り、中にある種をよく乾燥させます。
乾燥させた種は冷蔵保存して、春になってから使います。
鑑賞用トウガラシの種蒔きは5月から6月中が適期ですが、発芽に20~25℃以上の温度が必要です。
5月以降でも気温が低い時期に蒔くと芽が出ないので、十分に気温が上がってから種を蒔くようにします。
鑑賞用トウガラシの種を扱う時の注意点として、種にはカプサイシンと呼ばれる辛味成分が含まれています。
この成分が目や口などの粘膜に触れると強い痛みを引き起こすので、素手で触らないようにしましょう。
まとめ
鑑賞用トウガラシは、こまめな剪定やお手入れが不要なので、水やりや追肥に慣れれば楽に育てられる植物です。
観察しながらお世話をしていると、水やりのちょうど良い頻度もわかるようになります。
お世話に慣れるためにも、梅雨前に植え付けるのがおすすめですよ。
少しだけ気遣いが必要な植物ですが、よく晴れた日は艷やかな実がきれいに輝くので、鑑賞用トウガラシをぜひ育ててみて下さい。