パッとわかる!ナスタチウム(キンレンカ)の育て方
- 高温多湿を嫌うので、通気性の良い土と風通しの良い場所で育てる。
- 気温が上がってきたら、ハダニや立枯病などの病害虫の発生に注意。
- 水と肥料を与えすぎると、花つきが悪くなるので控えめに。
ナスタチウム(キンレンカ)は丸い蓮のような葉が特徴で、鮮やかな黄色やオレンジの花を咲かせます。
ビタミンカラーの花は初夏のガーデニングにぴったり。
ナスタチウムは日頃のお世話が簡単で、初心者にも育てやすい植物です。
今回は、ナスタチウムの育て方と管理のコツをお伝えします。
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ナスタチウム(キンレンカ)の詳細情報
植物名 | ナスタチウム |
別名 | キンレンカ(金蓮花) |
学名 | Tropaeolum majus |
英名 | Nasturtium |
科名 | ノウゼンハレン科 |
属名 | ノウゼンハレン属 |
園芸分類 | 草花、ハーブ |
形態 | 一年草 |
樹高 | 20cm~300cm |
原産地 | ペルー、コロンビア |
開花期 | 4月下旬~7月、9月~11月上旬 |
花色 | オレンジ、黃、赤、複色など |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 弱い |
ナスタチウム(キンレンカ)は春から夏までの間と秋に花を咲かせる一年草。
江戸時代にペルーより輸入された植物で、蓮のような丸い葉と黄色い花をつける姿から、日本では金蓮花(きんれんか)の別名がつけられて親しまれています。
ナスタチウムはコンパニオンプランツとしても役に立つ花で、ピーマンやナス、トマトなど定番夏野菜のアブラムシ除けに効果があります。
ナスタチウムそのものも、エディブルフラワーやハーブとしても食用可能です。
葉はかいわれ大根やワサビ菜のようなピリッとする辛味を持ち、実はピクルスにおすすめです。
ナスタチウムは高温多湿に弱く、気温が高い夏場や風通しが悪い環境だと枯れてしまいます。
そのため、夏越しが難しいものの、工夫次第で秋にもう一度花を咲かせます。
一般的にイメージされるナスタチウムは、5枚の花びらを咲かせる一重咲きの品種ですが、八重咲きや斑入りの品種もあります。
つる性のナスタチウムは3mほどまでつるを伸ばしますが、一般的に流通しているのは20cm~60cmまでの矮性種です。
ナスタチウム(キンレンカ)の育て方|購入から植え付けまで
入手方法と販売時期
ナスタチウム(キンレンカ)の苗は3月下旬から秋まで購入可能です。
11月ごろまでが開花時期なので、数は少なくなりますが、夏以降も園芸店やホームセンターに苗が並びます。
しかし、ナスタチウムの苗は植え付け時期である春に最も多く入荷されます。
丈夫な良い苗を選ぶためには、植え付け時期にあたる3月下旬から5月の間に購入しましょう。
食用目的がある場合は、ハーブコーナーに並んでいるものや食用と書かれているものを購入します。
用土
ナスタチウム(キンレンカ)は多湿を嫌うので、水はけと通気性が良い土で育てます。
市販の草花用の土やハーブ用の土、ハンギング用の土で生育可能です。
新しく土を作る場合は赤玉土:ピートモス:パーライト=5:3:2で配合した土を使います。
地植えの場合は、砂まじりの土に堆肥と腐葉土をすき込みます。
植え付け・植え替え
ナスタチウム(キンレンカ)の苗の植え付け適期は3月下旬から5月の間。
鉢植えの場合は、根鉢より一回り大きな鉢に植え付けます。
ナスタチウムは横に広がる性質を持つので、地植えの場合は株間30cmを目安に植えます。
ナスタチウムを植える時は、根を傷つけないよう根鉢を崩さずに植え付けましょう。
また、高温多湿を嫌うので、通気性が良いハンギングバスケットで育てるのもおすすめです。
ナスタチウムは植え替えの必要はありません。
日当たり・置き場所
ナスタチウム(キンレンカ)は日当たりと風通しの良い場所で育てます。
ただし、暑さや蒸れに弱いため、直射日光下での栽培やコンクリートの上に直接鉢を置くのは禁物です。
地植えする場所は、強い日差しが直接当たらない、涼しく明るい場所が向いています。
ナスタチウム(キンレンカ)の育て方|日々のお世話
水やり
やせ地を好むナスタチウム(キンレンカ)は、乾かし気味に育てましょう。
多湿な環境では根腐れや茎が間延びしてしまうので、土の表面がよく乾いてから水やりします。
地植えの場合は、基本的に降雨のみで大丈夫です。
乾きすぎで株がぐったりするようなら、たっぷり水やりをします。
肥料
ナスタチウム(キンレンカ)に与える肥料は控えめに育てます。
ナスタチウムに肥料を与えすぎると花つきが悪くなります。
特に、窒素過多になると葉ばかりが茂るので注意しましょう。
植え付け時の元肥は緩効性化成肥料を少量混ぜ込みます。
鉢植えの場合は開花期間中に追肥が必要です。
開花期間中の4月下旬~7月、9月~11月上旬の間は2週間に一度、薄めた液肥を与えます。
地植えの場合は追肥は不要ですが、開花期間中に株の育ちが悪いようであれば液肥を与えます。
夏場は株が弱るため、肥料は与えません。
剪定・切り戻し
ナスタチウム(キンレンカ)は7月ごろに1度、切り戻しを行います。
7月の梅雨が明けたころを目安に、ナスタチウムの株を草丈の3分の1ぐらいまで切り戻します。
多くの花を長い期間楽しめるよう、枯れた花は種をつける前に摘み取りましょう。
ナスタチウムは、本葉が4枚~6枚になったころに摘心して枝数を増やします。
摘心することで脇芽が増え、脇芽が育つことによって花数を増やせます。
ボリュームのある株の形になって、見栄えも良くなりますよ。
夏越し
ナスタチウム(キンレンカ)の夏越しは、高温と多湿を避けることが大切です。
25度以上の暑さでは株が弱るので、明るく涼しい場所に鉢を移動させます。
夏場でも日光は必要なため、室内に取り込む場合は、カーテン越しの明るい場所に置いて管理しましょう。
あらかじめ移動させやすい植木鉢やハンギングバスケットに植えるのも、夏越しの成功率をあげる方法のひとつです。
地植えの場合は日除けを施し、水が乾きすぎないように気をつけます。
冬越し
ナスタチウム(キンレンカ)を冬越しさせるには、最低5度以上の気温を保てる場所で管理します。
寒風にあたったり、霜がおりる場所では冬越しできません。
秋以降に購入した苗や、種蒔きで育てた幼苗は室内に取り込み、窓から少し離れた日当たりの良い場所で育てます。
病害虫
ナスタチウム(キンレンカ)はハダニやナメクジなどの害虫被害と、立枯れ病が発生する植物です。
気温が高く、乾燥するとハダニが増えます。
葉水をかけて予防したり、ハダニの数が増えてきた場合は薬剤散布で駆除します。
食用目的があるナスタチウムに薬剤を使用する場合は、必ず食用作物に使用できるものを選びましょう。
ナスタチウムはナメクジを引き寄せるので、ナメクジによる食害に注意します。
葉に粘液がついていたり、葉や花が食害された痕跡があれば、ナメクジが潜んでいる可能性があります。
ナメクジは夜行性なので、夜に観察すると見つけやすいです。
見つけたナメクジは捕殺し、ナメクジが這った跡のある葉は切り取ります。
他に、葉に曲がりくねった白い線状の模様があれば、ハモグリバエが葉に潜んでいるので、葉ごと切り取って駆除します。
ナスタチウムに発生しやすい病気である立枯れ病は、株が蒸れることで発生します。
気温が上がり、株が蒸れやすくなる初夏に発生しやすいので、梅雨明け以降は切り戻し、脇芽を摘んで株が混み合わないようにしたり、花がらをこまめに摘んで予防します。
ナスタチウム(キンレンカ)の増やし方
ナスタチウム(キンレンカ)は挿し芽や種で増やせます。
挿し芽は6月か10月ごろに、茎を2~3節ほど切り、1時間ほど水を吸わせます。
下葉を2~3枚取ってから、新しい土に挿します。
挿した後は日陰で土が乾かないように管理すると、10日ほどで発根します。
ナスタチウムの種は、3月下旬から4月中旬と、9月~10月に蒔くのが一般的ですが、冬越しが不要な春に蒔くのがおすすめです。
ナスタチウムは気温が20度あれば1週間ほどで発芽します。
少し時期を早めた2月下旬~3月上旬までに室内で早蒔きすると、長く開花を楽しめます。
外皮が固いため、一晩吸水させるか、外皮を削ってから種を蒔きます。
土を被せて発芽するまでは土が乾かないよう水やりが必要です。
まとめ
ナスタチウム(キンレンカ)は夏越し・冬越しが難しいですが、それ以外はほとんど手のかからない植物です。
水や肥料を与えすぎると花つきが悪くなるので、少し放っておくぐらいでも大丈夫。
ビタミンカラーが可愛いナスタチウムですが、斑入りの品種や、淡い色味の品種なども流通しています。
ハーブとして育てれば収穫ができる他に、ハンギングや寄植えなど、いろいろな楽しみ方もできます。
何度植えても楽しめるナスタチウムをぜひ育ててみてくださいね。