パッとわかる!インパチェンスの育て方
- 日当たりを好みますが木漏れ日くらいの日陰でも育ちます。
- 種まき後に被せる土は好光性種子のため、うっすら被せるくらいで大丈夫!
- 鉢に植え付ける時は新しい土を使います。
- 水やりは土が乾燥したらたっぷりあげましょう。
インパチェンスは日陰でも育つ、人気の夏の草花です。
夏の厳しい暑さでも鮮やかな赤やオレンジの花を咲かせてくれます。
丈夫で育てやすい植物なので初心者にもオススメです。
この記事では、インパチェンスの育て方について、ガーデニング初心者の方でもわかりやすく解説しました。
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インパチェンスの詳細情報
植物名 | インパチェンス |
学名 | Impatiens sultanii |
英名 | Busy Lizzie |
科名 | ツリフネソウ科 |
属名 | ツリフネソウ属 |
園芸分類 | 草花 |
形態 | 多年草(一年草) |
樹高 | 15cm〜50cm程度 |
原産地 | 熱帯アフリカ |
開花期 | 5月〜11月頃 |
花色 | 赤、ピンク、オレンジ、白、複色 |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
インパチェンスはアフリカホウセンカとも呼ばれる、熱帯アフリカが原産の植物です。
インパチェンスは原産国では多年草ですが、寒さに弱く枯れてしまうので日本では一年草として育てます。
高温多湿に強く生育スピードも早く、株にたくさんの花をつけるので満開の花姿は見応えがあります。
インパチェンスには一重咲きや半八重咲き、八重咲きやバラ咲きや葉っぱに模様があるなど、品種によって様々な違いを楽しめます。
インパチェンスの育て方|購入から植え付けまで
入手方法と販売時期
インパチェンスの種と苗は園芸店やホームセンター、インターネット通販で購入できます。
苗は3月頃~5月頃でお店によっては7月まで取り扱っています。
インパチェンスの苗は葉の色か濃くてしっかりしていて、つぼみがたくさんついている苗を選びます。
種はいつでも入手可能です。
用土
インパチェンスはやや乾燥に弱いので水はけと水もちのよい土で育てます。
インパチェンスはネマトーダという病気になりやすいため、連作を避けて新しい土で育てます。
庭植えの場合
インパチェンスの植え付け場所には樹木の近くなどの、明るさのある日陰〜日当たりのよい場所を選びます。
植え付けの1週間程前に植え付け場所を耕し、腐葉土や堆肥をすき込みます。
鉢植えの場合
インパチェンスを鉢に植える場合は、市販の草花用培養土を使いましょう。
植え付け・植え替え
インパチェンスの種まきの適期は3月〜6月頃で、植え付けの適期は4月〜5月頃です。
インパチェンスは品種によって庭植え向きと鉢植え向きがあります。
一重咲きは庭植え鉢植えともに向いています。
八重咲きは雨が苦手なので鉢植えが向いています。
インパチェンスは寒さに弱く冬越しできないため、植え替えはほぼ必要ありません。
鉢植えのインパチェンスで根詰まりした場合は、ひと回り大きな鉢に植え替えます。
根詰まりしたインパチェンスの植え替え適期は5月〜7月頃です。
種まき
種まきの適期は3月〜6月頃ですが、藤の花が満開になった5月頃がオススメです。
- インパチェンスの種まきには平べったい容器や平皿を使います。
- 用意した容器に種まき用土をあらかじめ湿らせて入れておきます。
- 土の表面に5個程度のくぼみを作り、2粒くらいの種を置きます。
- インパチェンスは好光性種子のため、種の上に光を通すくらい薄く土を被せます。
- 種まきした育苗ポットは明るさのある日陰に置き、土が乾燥しないよう水やりします。
- 水やりは霧吹きで土を湿らすか、ポットの下を水で浸して水やりします。
- インパチェンスの芽が出てきたら元気な芽を残して間引きしましょう。
- 本葉が3枚くらいになったら、鉢や庭に植え付けます。
庭や花壇の場合は苗周辺にワラなどを敷いておくと、土の乾燥防止になります。
植え付け
インパチェンスを植え付ける時は、直根性の太い根っこを痛めないよう注意してください。
ポットから苗を抜き取ったら、根鉢は触らずそのまま植え付けます。
2つ以上の苗を植え付ける時は、株間25cm程度あけて植え付けましょう。
植え付けした後はたっぷりお水を与えます。
日当たり・置き場所
インパチェンスは日当たりがよく気温が15℃〜30℃、湿度80%以上の高温多湿を好みます。
インパチェンスは基本的には日当たりのよい場所で育てますが、木漏れ日程度が当たる半日陰でも育ちます。
日光がほとんど当たらない日陰では花つきが悪くなるので、注意してください。
インパチェンスの育て方|日々のお世話
水やり
インパチェンスは庭植え鉢植えともに、土の表面が乾燥してきたらたっぷりお水をあげます。
水やりのタイミングは、インパチェンスの葉っぱのツヤが少しなくなってきた頃を目安にします。
水切れしないよう注意してください。
花に水がかかると花びらが落ちてしまうことがあるので、水がかからないよう水やりしましょう。
肥料
インパチェンスは肥料は少なめで育てます。
元肥は緩効性化成肥料を土に混ぜるか、肥料無しでも大丈夫です。
追肥は開花期間の5月〜7月頃と9月〜11月頃に行います。
月1回の頻度で緩効性化成肥料を置き与えるか、10日に1回程度を目安に液体肥料を与えます。
肥料をたくさん与えるとインパチェンスは大きく生育しますが、葉っぱばかり増えて花は咲かなくなります。
剪定・切り戻し
インパチェンスの剪定は、切り戻しと花がら摘みを行います。
切り戻し
インパチェンスは真夏の頃に暑さで元気がなくなってきます。
本格的に暑くなる前の7月頃に、全体の½になるよう切り戻しましょう。
カットする場所は脇芽の上の辺りです。
真夏に株を休ませることで、秋には再びきれいな花を咲かせます。
花がら摘み
インパチェンスは次々と花を咲かせますが、咲き終わった花がらを摘むと長く開花をたのしめます。
花がらをそのままにしておくと蒸れてしまったり、灰色カビ病になったりするので、こまめに取り除きましょう。
夏越し
インパチェンスは暑さに強いですが、猛暑では株が弱って葉っぱが変色したり、生育が衰えてしまいます。
鉢植えの場合は猛暑の前に明るい日陰に移動させましょう。
梅雨の頃や夏前に切り戻しを行って、開花を秋に調整したり、切り戻した枝で挿し芽をするのもオススメです。
夏の暑い時期に肥料を与えるとインパチェンスが弱ってしまうので注意してください。
冬越し
インパチェンスの耐寒温度は5℃のため、寒さに弱く冬越しはできません。
冬越しさせる場合は、5℃以上の室内でやや乾燥させると冬越しできます。
病害虫
インパチェンスは以下の病害虫の被害に遭うことがあります。
- 灰色カビ病
- ネマトーダ(センチュウ類)
- アブラムシ
- ハダニ
- ホコリダニ
- アザミウマ
灰色カビ病
雨の多い季節などの多湿の環境で、茎の傷ついた部分や枯れた花がらなどから発生します。
灰色カビ病に感染すると、茎や葉っぱや花がらなどが茶色や黒っぽく変色します。変色した場合はすぐに取り除きましょう。
ネマトーダ(センチュウ類)
ネマトーダは土の中に住んでいる線形生物で、体長1mmほどのミミズのような生き物です。
6月〜10月頃に根っこにコブを作るネコブセンチュウが付きやすく、根っこに大小のコブが発生します。
ネマトーダがつくと花があまり咲かなくなったり、生育が悪くなります。
ネマトーダは肉眼で確認するのは難しく、発生が分かっても専用の薬剤はありますが、駆除をするのは手間もかかり難しいです。
ネマトーダは駆除よりも発生の予防に力を入れましょう。
ネマトーダの予防には以下の方法があります。
- 連作をしない
- マリーゴールドを一緒に植える
- 鉢植えの場合は新しい土を使う
- 植え付け時に牛糞堆肥や米ぬかを入れる
鉢植えの場合は新しい土を使う
インパチェンスを鉢に植え付ける場合は、新しい土を使用してください。
古い土を使う場合はボルテージ粒剤などを使用したり、土を日光にあてて消毒してネマトーダの予防をしましょう。
連作をしない
インパチェンスを同じ場所で何度も植え付けて栽培しないようにしてください。
どうしても同じ場所に植えたい場合は、鉢に植え付けて庭や花壇に鉢ごと植え付ける方法もあります。
マリーゴールドを一緒に植える
ネマトーダを抑制する効果のある対抗植物には以下の植物があります。
- マリーゴールド
- ラッカセイ
- クリムゾンクローバー
- クロタラリア
- ギニアグラス
- エン麦
その中でも1番効果のあるのはマリーゴールドです。
ネマトーダはマリーゴールドの根っこから出る成分が苦手で、この成分はネマトーダを駆除する力があります。
特にマリーゴールドのフレンチ種が1番抑制効果があり、アフリカン種やメキシカン種も効果があります。
インパチェンスの植え付け前の3ヶ月間マリーゴールドを植えておいてインパチェンスの植え付け時に土を耕してよくすき込みましょう。
予防したい場所全体にマリーゴールドの根っこが広がるように育てておくのがポイントです。
植え付け時に牛糞堆肥を入れる。
牛糞堆肥はネマトーダを寄せ付けない性質があるため、植え付け時に完熟の牛糞堆肥をよく混ぜ合わせると予防の効果があります。
アブラムシ
アブラムシは風通しと日当たりの悪い環境、肥料のやり過ぎによる窒素過多で発生しやすい害虫です。
アブラムシは葉っぱの裏に寄生して、植物の養分を吸い取ります。
アブラムシは見つけ次第すぐに駆除し、大量発生した場合は薬剤を使いましょう。
ハダニ
ハダニは蜘蛛の仲間の害虫で、乾燥した環境で発生しやすいです。
ハダニは葉っぱの裏に寄生して、植物の養分を吸い取ってしまうため見つけ次第すぐに駆除しましょう。
ホコリダニ
ホコリダニは体長0.2mmほどの害虫で、発生を肉眼で確認するのは難しいです。
高温多湿の環境を好むため、15℃〜25℃以上でどんどん数を増やします。
ホコリダニが住み着くのは柔らかい植物の花びらや新芽で、ホコリダニがつくと縮れるなど変形します。
ホコリダニが発生した場合は、ホコリダニに効果のある薬剤を使って駆除してください。
アザミウマ
アザミウマは5月〜9月頃の、高温で乾燥した環境で花の中や葉っぱのつけ根に発生しやすい害虫です。
アザミウマのついた花や葉っぱは、養分を吸われて白い小さな斑点が現れたり変形したりします。
枯れた花がらから発生していくので、花がらはこまめに摘んで取り除きましょう。
インパチェンスの増やし方
インパチェンスは挿し芽と種の採取で増やすことができます。
暖かい地域ではこぼれ種でも増えることがありますが、ネマトーダに注意してください。
インパチェンスの挿し芽の適期は5月〜7月頃です。
種の採取は開花後の10月頃から可能です。
挿し芽
挿し穂には花のついていない枝を選び、10cmくらいにカットします。
カットした枝を1時間ほど水上げし、挿し床にあらかじめ湿らせた挿し木用の培養土に挿しておきます。
挿し芽後は明るい日陰に置いておき、土が乾燥しないよう水やりしてください。
10日程度で発根し、1ヶ月ほどで花が楽しめるほどに育ちます。
種の採取
花が咲き終わった10月ごろから種の入った袋ができてきます。
中に入った種が茶色く熟すと、外からうっすらと見えるようになります。
インパチェンスの種は1mmほどの大きさのため、そのままにしておくと種が弾け飛んでしまい見つけるのは困難です。
種を採取する場合は種袋を確認したら目の細かいネットやビニール袋、お茶葉を入れる不織布などを取り付けておきましょう。
まとめ
インパチェンスの育て方を紹介しました。
インパチェンスを育てるのは基本は日当たりのよい場所ですが、室内の明るい日陰でも育ちます。
日本の蒸し暑い夏でも花を楽しむことができて、初心者にも育てやすいのでおすすめです。