パッとわかる!クチナシの育て方
- 病害虫チェックをこまめにする
- 乾燥に弱いので、水切れしないように気をつける
- 日当たりの良い場所で育てると、クチナシの花数が増える
クチナシは、梅雨の時期から夏にかけて純白の花を咲かせ、少し離れた場所からでもわかるほど強い香りを放ちます。
クチナシは金木犀や沈丁花と合わせて『三大香木』と呼ばれる植物。
日本の植物の中でも代表的な香りのある木で、昔から庭木としてよく植えられています。
たくさんの虫を引き寄せ、害虫の被害も受けやすいので、クチナシの花と葉を美しく育てるには日頃の管理が大切です。
この記事では、クチナシの育て方と管理のコツをお伝えします。
クチナシの詳細情報
植物名 | クチナシ |
学名 | Gardenia jasminoides |
英名 | Gardenia、Cape jasmine、Common gardenia |
科名 | アカネ科 |
属名 | クチナシ属 |
園芸分類 | 庭木・花木 |
形態 | 低木 |
樹高 | 1m~2m |
原産地 | 日本、中国、台湾、インドシナ |
開花期 | 6月~7月、9月~10月 |
花色 | 白、黄 |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
クチナシは濃い緑色の葉によく映える、白い花を咲かせます。
6月から7月に咲かせる一季咲きのクチナシと、9月から10月にもう一度花を咲かせる二季咲きのクチナシがあります。
クチナシの花は一重咲きで6枚の花弁のものが一般的ですが、八重咲きの品種も華やかで人気です。
花が咲いた後、観賞用以外の一重咲きクチナシは実をつけます。
この実は染料や料理の色付け、漢方薬として利用されていて、天然着色料である『クチナシ色素』や漢方薬に使われる『山梔子』はクチナシの実から作られています。
クチナシの育て方|購入から植え付けまで
入手方法と販売時期
クチナシの苗は4月から6月の間に多く出回ります。
あまり大きくしたくない場合は鉢植えで育てられる、樹高が40cmまでのヒメクチナシやコクチナシがおすすめです。
クチナシは原種である一重咲きと、園芸品種である八重咲きのものがあり、どちらの品種も入荷量が増える5月~6月なら簡単に入手できます。
中には花径が10cm程にもなるクチナシや、黄色い花を咲かせるクチナシもあります。
もし、クチナシの実の収穫が目的でクチナシを育てるなら、一重クチナシを選ばないといけません。
実成りクチナシと表記されているものもあるので、確実にクチナシの実を収穫したい場合はよく見て購入しましょう。
用土
クチナシは、湿り気があって通気性良い土を好むので、地植えするなら赤玉土小粒と腐葉土を7:3で配合した土を使います。
配合されている草花用の培養土でも育ちますから、コクチナシやヒメクチナシのような小さな苗木を育てる場合は、鉢植えに草花用培養土を使って植えるだけで十分です。
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植え付け・植え替え
クチナシを植え付ける時期は4月から5月の間です。
クチナシは日本原産の植物ですが、細かくは東海地方より西側に生息しているので、寒さに弱い植物です。
寒冷地で育てるクチナシを冬越しさせたいなら、鉢植えで育てます。
クチナシを地植えする場合は、根鉢より一回り大きな穴を掘り、根鉢を3分の1ほど崩して植えましょう。
根が張って安定するまでは、支柱を立ててクチナシの苗木が倒れないように支えます。
ポットで購入したクチナシを鉢植えにするときは、根鉢から一回り大きい鉢に植え付けます。
鉢植えにしたクチナシは、2年に1度の植え替えが目安です。
4月から5月か、花が終わった後の9月から10月の間に植え替えます。
寒冷地では、気温が低い間の植え付け・植え替えは控え、暖かいときに行います。
日当たり・置き場所
日当たりの良い場所で育てれば、クチナシの花がたくさん咲きます。
クチナシは日陰や日当たりの悪い場所でも育ちますが、より多くの花を咲かせたいなら直射日光を避けた日当たりの良い場所で育てるのがおすすめです。
強い日差しや寒さに弱いので、真夏や10月を過ぎてからは日差しや寒風を避けられる場所に移動させます。
移動ができない地植えのクチナシには日除けや寒冷紗を施します。
クチナシの育て方|日々のお世話
水やり
クチナシは乾燥を嫌うので、水切れしないように気をつけます。
夏場は土が乾きやすいので、夕方にも土の具合をチェックして、表面が乾いていればたっぷり水を与えましょう。
肥料
クチナシは植え付け時に、元肥として緩効性化成肥料を施します。
その後は、2月と8月を目安に追肥が必要です。
8月ごろはクチナシの花が終わった後を目安に、お礼肥として化成肥料と油かすを混ぜたものを与えます。
真夏と、開花時期を過ぎてから春まではクチナシに肥料は与えません。
剪定・切り戻し
クチナシの花が終わった後は剪定ができるタイミングです。
7月中に剪定を済ませておくと次の開花期までに新しい花芽が育ちます。
新しい枝は残し、徒長枝や混み合った部分を、枝分かれした場所の根元から切り落とします。
クチナシの剪定に困ったら、プロに頼むのが安心です。
夏越し
直射日光を避けた場所で、水切れに注意していれば、クチナシの夏越しに特別な管理や手入れは必要ありません。
冬越し
寒さでクチナシの木をや根を傷めないようにするために、寒風や霜にあたらないようにします。
鉢植えのクチナシは屋内に取り込み、エアコンの風が直接当たらない暖かい場所に置きます。
冬場は気温が上がってから水やりをしてください
病害虫
アブラムシをはじめ、カイガラムシやオオスカシバの幼虫、ロウムシやアリまで、とにかく害虫被害への対処が大変なクチナシ。
これらの害虫は葉を食い荒らすので、放っておくとあっという間にクチナシの葉がボロボロになってしまいます。
殺虫剤がよく効く虫ばかりなので、普段から害虫チェックをする他に、予防対策に殺虫スプレーを1本購入しておくとすぐに対処できます。
アリが上がってきているようなら、クチナシの木の近くに巣がある可能性が高いので、地面に小さな穴がないかの確認と巣への対処が必要です。
クチナシは風通しが悪くなると灰色カビ病や褐色円星病など葉に異常を起こす病気にかかります。
葉が褐色に変色するのですぐに見つけられる病気です。
状態の悪い葉を見つけたら全て摘み取り、剪定して風通しをよくします。
クチナシの増やし方
クチナシは挿し木や株分けで増やせます。
挿し木は3月や9月にも行なえますが、6月から7月の間に行うのが最も簡単です。
挿し木には、その年に新しく伸びた丈夫な枝を10cm~15cmほど切って使います。
1時間ほど吸水させた後は新しい赤玉土に挿して、根が出るまでは明るい日陰で水切れしないように育てます。
ヒメクチナシやコクチナシは3月から4月の間に株分けで増やせます。
土から掘り出したクチナシの根を半分になるようにほぐして、植え付け時と同じ方法で新しい鉢と土に植えます。
分けにくいようであればよく切れる清潔なハサミを使って切り分けましょう。
株分けしたクチナシを植え直した後は、根付いて元気が戻るまで半日陰で管理します。
クチナシの育て方でよくある質問
クチナシの花が咲きません。原因はなんですか?咲かせるにはどうしたらいいですか?
まとめ
甘い香りが魅力的なクチナシですが、その香りに寄せられて様々な虫が寄ってきます。
表記したクチナシに付きやすい害虫以外にも、管理する地域や場所で違った虫がつくこともあるので、害虫への対処をする覚悟が必要です。
クチナシは害虫さえ気をつけていれば樹形も整いやすく、簡単に花を咲かせる植物なので、初心者でも育てられます。
じめじめとする季節に咲くクチナシの花と香りは、梅雨や蒸し暑さで沈んだ気持ちを晴らしてくれるので、ぜひ育ててみて下さいね。