蝋梅は明るい黄色の花びらに、蝋を塗ったような不思議な質感の花をつける植物。
蝋梅は四大香木と呼ばれるほど甘くて柔らかさのある良い香りを放つので庭木としても好まれています。
ところが、「蝋梅は庭に植えてはいけない」と言われる植物でもあります。
結論を言えば、蝋梅は植えても問題ありません。
ただし、毒性があるので注意が必要な植物です。
この記事では、蝋梅を植えてはいけない理由と注意点について解説します。
蝋梅を植えてはいけない理由
蝋梅を植えてはいけない理由は以下の3つです。
毒がある
蝋梅を植えてはいけない理由の1つ目は、毒があるから。
蝋梅は、花や蕾に抗菌や抗炎症作用があるとして昔から薬として利用されていました。
しかし、蝋梅はアルカロイド系の毒を持つ植物です。
名前に梅の字があるので勘違いしやすいですが、梅と同じバラ科ではなく、蝋梅はロウバイ科。
蝋梅の実も梅干しのように食べられるのかと思われますが、実にも強い毒があります。
そのまま食べるのはもちろん、漬けたり果実酒に使うこともできません。
種子の部分を食べた動物が中毒を起こした事例もあるので、誤飲のおそれがある子どもやペットのいる家庭では植えない方が良い植物であると言えます。
ロウバイの種子等にはアルカロイドの一種であるカリカンチンが含まれ,動物が摂取するとGABA阻害作用により神経症状を呈するとされている.
J-STAGE 日本獣医師会雑誌『羊のロウバイ中毒疑い事例』
花が咲きづらいから
蝋梅を植えてはいけない理由の2つ目は、なかなか花が咲かないから。
蝋梅の花芽は、年数の経過した古い枝にはつきません。
そのため、古い枝を残して伸びた枝をこまめに切っていると花が咲かなくなってしまいます。
蝋梅を植えたのにだんだん咲かなくなってきたと言われるのは、主に剪定が原因です。
しかし、植えたばかりの蝋梅でも花を咲かせないことがあります。
これは、蝋梅が生育スピードの遅い植物であるためで、管理や環境が原因ではありません。
種から育てている蝋梅の場合は、花が咲くまでに5年以上かかります。
そのため、蝋梅は苗木から育てるのが一般的です。
ただし、苗木の年数によっては花が咲かないことがあるので、すぐに蝋梅の花を楽しみたい人は開花や花芽が確認されている苗を購入すると良いですよ。
蝋梅の花が咲かない原因や対処法は、こちらの記事で詳しく解説しています。
鳥害にあうから
蝋梅を植えてはいけない理由の3つ目は、鳥害にあうから。
蝋梅の花や蕾は、ヒヨドリが好んでつつきに来ます。
せっかく花を見られるかと思った矢先に食べられてしまうとがっかりしてしまいますよね。
頻繁に集まるようになると、鳴き声や糞害に悩まされる可能性があります。
蝋梅を植える時の注意点
蝋梅を植える時の注意点は以下の3つです。
子どもやペットに触れさせない
蝋梅を植える時の注意点の1つ目は、子どもやペットに触れさせないこと。
蝋梅の花は、ツヤのあるお菓子のような見た目で、甘くて良い香りがします。
実の中は密度が低くてほとんどが種の部分ですが、種子にとても強い毒性があるため危険です。
誤って舐めたり口に含んだりしないように、子どもやペットのいる家庭では注意が必要です。
剪定時期を間違えない
蝋梅を植える時の注意点の2つ目は、剪定する時期を間違えないこと。
蝋梅は剪定時期と剪定する枝を正しく知ることで花が咲かないトラブルを避けられます。
蝋梅の剪定をする時は、若い枝を残し、何年も経って花が咲きにくい古い枝を切るようにします。
蝋梅の剪定は3月ごろと、11月~12月の年に2回。
花が終わり、葉も落ちた3月ごろは、古い枝や徒長枝、ひこばえを取り除きます。
ひこばえは、株元から生えてくる枝で、養分を吸い取ってしまうので早めに取り除く必要があります。
この時に古い枝を一度にたくさん切ってしまうと生育に影響が出ることがあるので、古い枝を切る数と、残しておく若い枝の数が同じぐらいになるように剪定をしましょう。
徒長枝と呼ばれる、細くて上に向かって伸びる枝も花芽をつけにくい枝なので、切り落とします。
11月~12月の剪定は、風通しを良くするための剪定です。
花芽を落とさないように、樹形を整える程度に剪定します。
年に2回の剪定のタイミングを守っていれば大きくなりすぎたり花が咲かなくなることを防げます。
ただし、3月から6月までは枝がよく伸びるので、混み合っている部分ができた場合は重なった部分をすく程度に剪定して下さい。
6月~7月には翌年の花芽がつくので、間引き剪定をする場合は6月までに済ませ、枝を落としすぎないようにしましょう。
蝋梅の剪定に迷ったら、プロに相談するのが安心です。
鳥害対策をする
蝋梅を植える時の注意点の3つ目は、鳥害対策をすること。
もしも蝋梅の花が鳥につつかれているようなら、鳥対策をしましょう。
しかし、ヒヨドリは人をあまり怖がらず、カラスや鳩のように色や音での対策が難しい鳥です。
小さく体の細い鳥なので、網を張る場合は30mm以下の目の細かい網がおすすめです。
まとめ
蝋梅を植えてはいけない理由は主に、毒があるからということをお伝えしました。
毒も食べたりしなければ影響がないため、蝋梅は絶対に植えてはいけない植物ではありません。
ただし、毒性が強いので子どもやペットのいる家庭では植えない方が無難な植物と言えます。
病害虫に強く、花の少ない冬に開花を楽しめる蝋梅。
だんだん咲かなくなる問題も、きちんと剪定を行うことでたくさんの花を咲かせてくれます。
蝋梅は、梅・さざんか・水仙に並んで雪中四友と言われ、画題にも選ばれる素敵な花です。
花が咲かなくなるなんてこともないので、ぜひ蝋梅を植えてみてくださいね。