山茶花(サザンカ)は古くから生け垣に使われる植物で、冬に咲く花としてもよく知られています。
濃いピンク色や白色などの幾重にもなる花びらと黄色の雄しべがよく目立つ山茶花は、お庭にあると花の少ない冬にも目を楽しませてくれます。
しかし、山茶花(サザンカ)は植えてはいけないとよく言われる植物です。
結論を言えば、山茶花はお庭に植えても良い植物。
ただし、お庭に植える場合は注意と覚悟が必要です。
この記事では、山茶花を植えてはいけない理由を解説します。
山茶花(サザンカ)を植えてはいけない理由
山茶花を植えてはいけない理由は以下の5つ。
チャドクガなどの害虫が発生しやすい
山茶花を植えてはいけない理由の1つ目は、毒を持つ害虫がつくこと。
山茶花そのものに毒はありませんが、山茶花は強い毒を持つチャドクガがつきやすい植物です。
チャドクガは、山茶花の葉を食害する毒蛾の仲間。
チャドクガの主な問題点は以下の点です。
- 毒針毛が肌につくと皮膚炎を起こす
- 毒針毛は風で飛散する
- 葉の裏に大発生する危険性がある
- チャドクガが死んでも毒針毛の毒性は消えない
チャドクガは卵から成虫まで、毒針毛という目に見えない小さな毒針を無数に持っています。
チャドクガの毒針毛が1本肌についただけでも、かぶれやただれなどの皮膚炎を引き起こします。
チャドクガ対策をしないと4~6月ごろと8~9月ごろに、山茶花の葉の裏に幼虫が大発生してしまうことも問題です。
幼虫が大発生すると、見た目が気持ち悪い上に駆除が大変。
殺虫剤で山茶花についたチャドクガが死んだとしても、毒針毛に触れると皮膚炎を引き起こすため、駆除の時には十分な注意と対策が必要です。
チャドクガの毒針毛は風で飛散するため、山茶花を植えた場所から離れた所でも被害が出てしまう危険性もあります。
チャドクガが発生してしまうと通行人やペットに被害が出る可能性もあるため、山茶花を植えてはいけないと言われます。
山茶花は、ウイルス病を媒介するアブラムシやカイガラムシといった害虫も発生しやすいので、他の植物を近くに植えている場合は影響が出る場合があります。
縁起が悪いと言われる
山茶花を植えてはいけない理由の2つ目は縁起が悪いと言われるから。
しかし、山茶花が縁起が悪いと言われるのは誤解です。
山茶花が縁起が悪いと言われる理由は、主に花の姿が似ている椿と間違えられているからです。
椿は、花が終わると花の形そのままぽとりと落ちるので、打首を連想するといって古くから縁起が悪いと言われています。
椿に対して山茶花は花びらがはらはらと落ちるため、打首を連想させることはありません。
地域によっては植えると貧乏になる・病気になるといった迷信もありますが、山茶花を植えたからといってただちに貧乏になったり、病気になる訳ではないので縁起や俗信の問題は気にしなくても大丈夫です。
ハチが寄ってくる
山茶花を植えてはいけない理由の3つ目は、ハチが寄ってくること。
チャドクガの発生時期を過ぎ、山茶花の開花する10月ごろになると、ハチが花に集まります。
ミツバチだけでなく、スズメバチのような人を襲う危険のある毒性の強いハチも山茶花の花を好むため、見つけた場合はただちに対策をしなければいけません。
山茶花を植えている家や、近所に巣を作る可能性も考えられます。
病気が発生しやすい
山茶花を植えてはいけない理由の4つ目は、病気が発生しやすいこと。
山茶花は日当たりが良い場所を好み、水をやり過ぎたり風通しが悪いと病気にかかりやすくなります。
炭疽病や花腐菌核病、輪紋葉枯病など放っておくと広がったり枯れてしまう病気にかかりやすいため、剪定や発生した場合の薬剤散布など定期的にお手入れが必要です。
山茶花はもち病という、葉がもちのように膨らんでしまう、ツツジ類やツバキ類特有の病気にも注意しましょう。
片付けが大変
山茶花を植えてはいけない理由の5つ目は、片付けが大変なこと。
山茶花は花びらがはらはらと落ちるためよく散らかります。
山茶花が大きくなったり、植えている本数が多いほど片付けが大変です。
放っておくと病気の原因になるため、こまめに落ちた葉や花びらの掃除をしなければいけません。
特に雨の後は花びらが落ちやすく、病気が発生しやすくなります。
山茶花(サザンカ)を植える時の注意点
山茶花を植える時に注意する点は以下の4つ。
チャドクガ対策をする
山茶花を植える時の注意点の1つ目は、チャドクガ対策をすること。
山茶花を植える時は、チャドクガを大発生させないために必ず対策をしましょう。
チャドクガの対策には、10月から5月と、7から8月の卵がつく期間に薬剤を散布するのがおすすめ。
チャドクガが発生していないようであれば木酢液を散布すれば予防に効果があります。
チャドクガの卵を見つけた場合は葉ごとビニール袋に包み、枝を切り落として処分します。
卵に触れても皮膚炎を起こすため、作業をする時は肌を出さない服装で慎重に行ってください。
チャドクガを駆除する場合は毒針毛を固めてくれるチャドクガ防除スプレーを使うと毒針毛の飛散を大きく防げます。
ハチ対策をする
山茶花を植える時の注意点の2つ目は、ハチ対策をすること。
山茶花には様々なハチが寄ってきます。
ハチ対策グッズは殺虫スプレーだけでなく、ハチの巣を模したハチ除けなど種類が豊富です。
殺虫スプレーにはハチが巣を作るのを予防する効果を持つ商品もあるので、活用しましょう。
チャドクガ対策に使える木酢液は、ハチ予防にも有効です。
スズメバチを見かけた場合は叩いたりして刺激せずに、スズメバチが活動しない夕方以降に近くに巣がないか確認をしてください。
巣がなければ予防可能なスプレーや、対策グッズでスズメバチが山茶花や家の周りに近づかないようにします。
巣が大きくて手がつけられないようであれば駆除業者に依頼して、安全に駆除した後に予防対策をします。
剪定をする
山茶花を植える時の注意点の3つ目は、剪定をすること。
山茶花の病害虫予防に剪定は欠かせません。
剪定して風通しを良くすることで、病害虫が見つけやすくなり、多湿が原因の病気の予防になります。
山茶花の剪定はチャドクガやハチの少ない、花後の2月から4月の間に行います。
チャドクガの卵があると危険なので、剪定をする時は念のために肌がなるべく出ないようにしましょう。
もし山茶花の剪定で迷ったら、プロに頼むのが安心です。
植える場所に注意をする
山茶花を植える時の注意点の4つ目は、植える場所に注意をすること。
山茶花は、チャドクガやハチによる被害を考慮して、人通りのない敷地内に植えると良いです。
子どもやペットがいる家庭で山茶花を植える時は、近くで遊ぶことがない場所を選びましょう。
植える場所に配慮をしても、チャドクガの毛の飛散やハチの往来による他人への影響も考えられるため、発生させないように対策を必ず行ってください。
まとめ
山茶花を植えてはいけないと言われるのは、縁起が悪いことよりもチャドクガやハチなど、病害虫の危険があり、こまめなお手入れや掃除が必要で管理が大変だからということがわかりました。
山茶花が縁起が悪いと言われるのは誤解なので、植える時に縁起を気にする必要はありません。
ただし、チャドクガやハチの対策や駆除が不安だったり、こまめなお手入れが難しいならお庭に植えない方が良い植物だと言えます。
山茶花は寿命が長いため、きちんとお手入れができるのであれば何十年もお庭を飾ってくれる植物です。
山茶花をお庭に植えた時は、対策グッズや専門業者を頼って、山茶花が長生きできるようにチャレンジしてみてくださいね。