ライラックは初夏に薄紫~ピンクの花を咲かせます。
リラや紫丁香花(ムラサキハシドイ)という別名があり、紫丁香花という漢字のとおり、香りも楽しめる植物です。
結婚祝いにも使われるライラックですが、植えてはいけないと言われる植物のひとつです。
結論を言えば、ライラックはお庭に植えても大丈夫です。
縁起が悪いと言われることもありますが、日本では気にすることはありません。
ただし、ライラックは、知識がないまま植えると枯れてしまう可能性があります。
この記事では、ライラックを植えてはいけない理由と対処法について、縁起が悪いと言われる真相と合わせて解説します。
ライラックを植えてはいけない理由
ライラックを植えてはいけない理由は、以下の5つ。
大きくなる
ライラックを植えてはいけない理由の1つ目は、大きくなること。
ライラックは大きいものだと、6mほどの高さになる小高木。
ライラックは高温多湿を嫌い、涼しい環境でないと育ちにくいですが、平均的な大きさでも2m~4mあります。
低木と表記されていることもあり、一般的な低木のイメージでライラックを購入すると、予想より大きくなってしまいます。
葉張りも4m前後になるため、お庭に地植えする時は十分なスペースが必要です。
成長も早いので、シンボルツリーの成長を時間をかけてゆっくりと楽しみたい人には、ライラックは向いていません。
枯れやすい
ライラックを植えてはいけない理由の2つ目は、枯れやすいこと。
ライラックは風通しがよく、涼しい環境を好みます。
西日にとても弱く、涼しい地域でも植える場所を選ばないといけません。
関東より西の地域では、地植えにすると夏の暑さや蒸れで枯れてしまう可能性が高いです。
また、ライラックは強剪定に弱いので、切りすぎると枯れてしまいます。
剪定する時期を間違えても枯れることがあるため、ライラックに適した剪定のやり方を知っておくことが大切です。
違う木になってしまうことがある
ライラックを植えてはいけない理由の3つ目は、違う木になってしまうことがあること。
ライラックは台木にイボタノキというモクセイ科の低木が使われていることが多いです。
イボタノキは房に小さな白い花を咲かせる2m~4mほどの木。
花の香りもわずかで、ライラックとは似ていません。
台木から伸びた枝を放置してしまうと、イボタノキが大きくなってライラックが枯れてしまいます。
花が咲かない場合がある
ライラックを植えてはいけない理由の4つ目は、花が咲かない場合があること。
ライラックは環境が合っていないと、花がつきにくいです。
関東以西で育てる場合、気候が合わないために花芽がつかず、何年も花が咲かないままになってしまうこともあります。
環境が合っていても、時期を間違えて剪定すると花芽まで落としてしまうため、剪定時期を守らないと花が咲きません。
縁起が悪い
ライラックを植えてはいけない理由の5つ目は、縁起が悪いこと。
イギリスではライラックに不吉な言い伝えがあります。
- イギリスで婚約している相手にライラックを贈ることは婚約破棄を意味する
- 紫のライラックは縁起が悪いので家庭に持ち込んではいけない
しかし、日本ではライラックは結婚祝いの記念樹のひとつであり、不吉な言い伝えもないので植えても大丈夫です。
ライラックを植えるときの対処法
ライラックを植えるときの対処法は、以下の5つ。
品種を選ぶ
ライラックを植えるときの対処法の1つ目は、品種を選ぶこと。
ライラックの生育において、対処が難しい樹高や気候の問題は、品種選びで解決できます。
ライラックの木を大きくしたくない場合には、あらかじめ樹高が高くならない品種を選びましょう。
中には、姫ライラックという樹高が1.5mまでのコンパクトな品種もあります。
姫ライラックは一般的なライラックよりも耐暑性が高く、暖地でも育てることが可能です。
樹高が低いのでシンボルツリーとして植えるには物足りなさを感じますが、暖地の小さなスペースでもライラックの花と香りを楽しめるのは大きな魅力。
姫ライラックの他にも、パープルグローリーや白花のエンジェルホワイトなど、耐暑性が高くて暖地で生育可能なライラックがあります。
品種選びのときの注意点として、カリフォルニアライラックという植物を選ばないように気をつけてください。
カリフォルニアライラックは、セアノサスという植物の別名で、モクセイ科のライラックとは違うクロウメモドキ科の低木です。
植える場所を選ぶ
ライラックを植えるときの対処法の2つ目は、植える場所を選ぶこと。
矮性種以外のライラックを植えるなら、十分なスペースを確保して植えます。
ライラックは高温多湿や乾燥を嫌うので、水はけがよい土で、西日の当たらない場所に植えてください。
ただし、日当たりが悪くても花つきが悪くなるため、ずっと日陰になっている場所には植えないようにします。
植える時は深植えは避けて、根本に土を寄せておきます。
植えるライラックが接ぎ木苗の場合、ライラックの自根が出るように接ぎ目の部分が隠れるまで土で埋めましょう。
剪定に注意する
ライラックを植えるときの対処法の3つ目は、剪定に注意すること。
ライラックは成長速度が早い一方で、強剪定に弱い植物。
芽吹きも弱いので、大きくなってから切って大きさを整えるのは難しいです。
また、ライラックが弱らないよう、剪定時期を守るようにしてください。
ライラックの剪定は、花が終わった後の5月~6月ごろに行います。
ライラックの花芽は、7月~8月に枝先にできるので、剪定のタイミングが遅くならないように注意します。
ライラックは樹形が勝手に整う木なので、樹形を整えるためではなく、混み合っている部分の不要な枝や花がらを取り払う剪定で十分です。
不要な枝を切る時は枝の付け根から切り落とし、終わった花は花穂の下で切ります。
イボタノキは切る
ライラックを植えるときの対処法の4つ目は、イボタノキは切ること。
接ぎ木苗の場合は、ライラックの根元から生えるヒコバエに注意しましょう。
イボタノキのヒコバエが伸びてきたら、時期を問わず、土を掘って付け根から切り落としてください。
剪定のしすぎや冷涼地以外で育てるなどの理由で、ライラックの樹勢が弱くなると、イボタノキが強くなりやすいです。
よい意味がある
ライラックを植えるときの対処法の5つ目は、よい意味があると知ること。
イギリスでは不吉なエピソードがありますが、日本では結婚祝いの花の意味合いが強く、ウエディングブーケにも使われます。
ライラックの花言葉は「初恋の香り」「友情」「謙虚」「青春の思い出」。
ライラックの花言葉の中には縁起が悪いと感じる言葉はありません。
また、ライラックの花は花弁が4つに分かれていますが、5つに分かれている花はでハッピーライラックと呼ばれています。
ハッピーライラックは、見つけると幸せになれるという言い伝えや、「誰にも見つからないように飲み込むと、愛する人と永遠に幸せになれる」といったおまじないがあります。
まとめ
ライラックは、環境によっては育てにくいですが、お庭に植えても問題はない植物ということがわかりました。
環境が合っていれば、ほとんど剪定いらずで花を咲かせてくれます。
暖地でも生育可能な品種もあるので、温暖地~暖地でライラックを育てたい場合は、耐暑性のある品種でチャレンジしてみてくださいね。