梅の木は古くから庭木としても親しまれている落葉高木です。
梅の木には花が美しく観賞向きの花梅、実の収穫が楽しめる実梅があり、種類が多いのも魅力。
大きく育った梅の木がお庭に植えてあると目を惹かれますよね。
しかし、梅の木は植えてはいけないと言われる植物のひとつ。
結論を言えば、梅の木はお庭に植えても大丈夫です。
ただし、梅の木は管理が大変な樹木と言えるので、よく考えてから植えないと後悔してしまう場合があります。
この記事では、梅の木を植えてはいけない理由と対処法を解説します。
梅の木を植えてはいけない理由
梅の木を植えてはいけない理由は、以下の5つ。
大きくなりすぎるから
梅の木を植えてはいけない理由の1つ目は、大きくなりすぎるから。
梅の木は成長速度が早く、若い木だと1年で30cm~60cmほど枝を伸ばします。
お手入れをしている梅の木の一般的な樹高は3m~5m程度ですが、大きいものだと10mほどにまで育つ樹木です。
お手入れをしないと大きくなりすぎて、手がつけられなくなってしまいます。
大きくなった梅の木は、脚立を用いての剪定や、業者による手入れが必要です。
また、地上部の成長に合わせて梅の木の根も大きく広がります。
梅の木の根はとても強く、植える場所によっては家の基礎や配管を圧迫します。
大きく広がった梅の木や根が、近くに植えてある他の植物の生育を阻害してしまうのもデメリットのひとつです。
お庭の景観も大きく変わってしまう可能性があります。
梅はとても寿命が長い樹木なので、将来のことも考えて植える場所を決めなくてはいけません。
毒虫が発生する
梅の木を植えてはいけない理由の2つ目は、毒虫が発生するから。
害虫がつきやすいことも、梅の木を植えてはいけないと言われる代表的な理由のひとつで、悩まされている人も多いです。
梅の木を育てていると、アブラムシやカイガラムシ、コスカシバなどの害虫が発生します。
特に問題なのが、ドクガやイラガの幼虫など、触れると人体に害が及ぶ毛虫が発生すること。
これらの害虫は大量発生しやすく、予防や駆除が大変です。
ドクガやイラガの幼虫が大量発生した場合、梅の木が植えている場所の近くに人通りがあると、通行人に被害が出てしまう可能性もあります。
中でも、チャドクガの幼虫は梅の木に発生しやすい有毒の毛虫。
チャドクガの幼虫がいる場所から離れていても、風で舞い飛んだ毒針が肌に付着すると、激痛と皮膚炎を引き起こします。
トラブルの原因になる可能性もあるため、注意が必要です。
掃除が大変
梅の木を植えてはいけない理由の3つ目は、掃除が大変だから。
梅の木は落葉樹なので、秋になると葉を落とします。
その後、1月下旬ごろ~3月ごろに花が咲き、実をつける品種は6月~7月ごろに収穫時期になります。
四季の移り変わりを楽しめることも梅の木の魅力のひとつですが、年数が経つほど葉や花の数が増えるので掃除が大変です。
梅の花はメジロやヒヨドリなどの野鳥が好むので、梅の木を植えることが鳥害発生の原因になる場合もあります。
収穫目的で梅の木を植える場合は、落ちた実の掃除もしなければいけません。
梅の木は、木に負担がかからないように自ら実を落とす「生理落下(生理落果)」と呼ばれる現象が起きます。
若い木や元気のない木は実を落とす量が多いので、負担がかかります。
実がならない
梅の木を植えてはいけない理由の4つ目は、実がならないから。
梅の実がならない原因はいろいろありますが、収穫目的で梅の木を植える場合、1本では梅の実がなりにくいことを知っておきましょう。
中には1本でも実をつける品種もありますが、ほとんどが自家不結実性で、他の品種の梅の木が必要です。
さらに、他の品種の梅の木では受粉しない不親和性をもつ品種もあるため、結実しやすい組み合わせを知っておく必要があります。
最低2本の梅の木を育てる広いスペースが必要で、木が若いうちは実がなりません。
また、せっかく梅の実がなっても、病害虫被害によって収穫量が減ることもあります。
梅の実を収穫できるようになるまで、スペースとコストに加えて年数と手間がかかるため、気軽に植えない方がよい樹木と言えます。
縁起が悪い
梅の木を植えてはいけない理由の5つ目は、縁起が悪いから。
梅の木は、「松竹梅」という言葉にあるように、古くから縁起が良いとされる樹木です。
しかし、梅の木は実をつけるため、「実が落ちるから実のなる木は縁起が悪い」という言い伝えが理由で縁起が悪いとされることがあります。
実のなる木が縁起が悪いと言われるのには、「木や根が大きくなったり害虫が寄り付くため、家への被害や影響が出る」という理由もあります。
そのため、梅の木に全く関係がないわけではありませんが、現代では対処法があるので縁起は気にしなくても大丈夫です。
梅の木を植える対処法
梅の木を植えるときの対処法は、以下の4つ。
品種を選ぶ
梅の木を植えるときの対処法の1つ目は、品種を選ぶこと。
梅の木を植えて失敗しないためには、目的に合わせて梅の品種を選ぶ必要があります。
収穫目的で植える場合は、1本でも実がなる自家結実性のある品種を選ぶか、実梅を2本以上植えます。
実をたくさん収穫したいなら、自家結実性のある品種でも2本以上植えるとよいです。
受粉樹には開花時期の近い花梅を選んでもよいですが、花粉が少ない品種もあるので注意しなければいけません。
園芸店では相性の良い組み合わせがセットで売られていることもあるので、相性がわかりにくければセット売りの購入もおすすめです。
花のみ観賞したい場合や、収穫量を気にしないのであれば、好みの品種を選びましょう。
樹形や樹勢、香りの強さにも違いがあるので、こだわりたいのであれば下調べをしてから購入してください。
梅の木のためのスペースが確保できない場合は、鉢植えで育てれば樹高を1.5mほどに留めることもできます。
収穫目的で梅の木を2本植えるスペースがないときは、受粉樹を鉢植えで育てても大丈夫です。
剪定をする
梅の木を植えるときの対処法の2つ目は、剪定をすること。
成長速度が早く、害虫が発生しやすい梅の木の管理には、剪定が欠かせません。
梅の木の剪定タイミングは春・夏・冬の3回あります。
花後の春には新しい枝を伸ばすための剪定、7月~8月ごろには翌年の花を咲かせる芽をつけるために不要な枝を取り除く剪定、休眠期である11月~1月ごろは樹形をつくるための剪定を行います。
梅の木によって樹形や開花時期が違うため、品種や成長に合わせた剪定をすることが大切です。
特に、2年目~4年目は仕立てが将来の樹形に大きく影響する重要な時期です。
剪定が難しく感じたり、きれいな樹形になるように育てたいならば業者に頼みましょう。
植える場所に注意する
梅の木を植えるときの対処法の3つ目は、植える場所に注意すること。
梅の木は日当たりと水はけのよい場所に植えるとよく育ちます。
その上で、将来的な樹高や枝張り・根張りを考えて、周りの建物や植物から離れた場所に植えます。
塀があっても、通路の近くや隣の家に近い場所は避けたほうが無難です。
病害虫予防をする
梅の木を植えるときの対処法の4つ目は、病害虫予防をすること。
人に危害が及ぶドクガやイラガ類の発生を抑えることも重要ですが、大事な梅の木が食害されないようにするためにも害虫予防をしてください。
害虫の発生や食害により病気にかかることもありますから、剪定だけでなく、梅の木を守るための薬剤もうまく活用しましょう。
また、せっかくの梅の実が病気で無駄になってしまわないように、開花後の3月~5月は梅の木がかかりやすい「かいよう病」や「黒星病」の薬剤散布をするとよいです。
ただし、大きな梅の木に薬剤を散布するときは、近隣に迷惑がかからないように散布を行ってください。
まとめ
梅の木は管理が大変で毒虫発生の危険性もあるため、こまめなお手入れが難しい場合は植えない方がよい木と言えます。
しかし、場所がないなら鉢植えで育てたり、業者を活用すれば問題を解消できるので、絶対に植えてはいけない木ではありません。
梅の木はとても寿命が長く、大切に手入れをして育てればその分だけ美しい姿を見せてくれます。
お庭に十分なスペースがあり、お手入れができるなら、ぜひお気に入りの梅の木を探して植えてみてくださいね。