カモミールは、カミツレとも呼ばれる、白い小さな花びらとぽこりと丸い中心部がかわいい有名なキク科のハーブです。
りんごに似ている香りがするカモミールは、ハーブティーやポプリにして楽しめます。
また、カモミールは成長促進や害虫予防に役立つコンパニオンプランツとして重宝する植物でもあります。
よい所がたくさんあるカモミールですが、植えてはいけないと言われます。
結論を言えば、カモミールはお庭に植えても問題ない植物。
ただし、地植えにする場合は注意する点がいくつかあります。
この記事では、カモミールを植えてはいけない理由と、対処法をお伝えします。
カモミールを植えてはいけない理由
カモミールをお庭に植えてはいけない理由は、以下の5つ。
増えやすい
カモミールを植えてはいけない理由の1つ目は増えやすいこと。
カモミールには、匍匐性のローマンカモミールと、直立性のジャーマンカモミールがあります。
特に、ローマンカモミールは匍匐性で横に広がりやすく、地についた茎から根が出て新しい株を作ります。
どちらもこぼれ種でどんどん増えていくため、地植えにすると増えすぎてしまう可能性があります。
風で飛ばされた種が離れた場所から芽を出すこともあるので、掃除や除草が必要です。
しかし、ハーブの中でも繁殖力が強いと言われるミントやレモンバームのように、手がつけられなくなるほど増えたり、駆除に悩まされることはありません。
引き抜くことも簡単で、除草しやすいため、カモミールは地植えにしても大丈夫です。
害虫がつきやすい
カモミールを植えてはいけない理由の2つ目は、害虫がつきやすいこと。
害虫予防に役立つと言われているカモミールですが、カモミールに虫除け効果があるわけではありません。
カモミール自身が虫を引き寄せることによって、他の植物を害虫被害から守ります。
そのため、カモミールには害虫が寄りつきやすく、特にアブラムシやハダニが発生しやすいです。
アブラムシ・ハダニ以外にもアオムシやエカキムシ、アザミウマなど多種に渡り発生することがあるため、対策をしなければ害虫の巣になってしまいます。
大きくなりすぎる
カモミールを植えてはいけない理由の3つ目は、大きくなりすぎること。
上によく伸びるジャーマンカモミールの草丈は60cm以上、環境が合っていると1mほどまで育ちます。
匍匐性のローマンカモミールは草丈はおよそ30cmほどまでで低いものの、お手入れをしないと横に広がりすぎたり、他の植物の栽培スペースに伸びていきます。
草丈や広がりを抑えるためのお手入れが必要です。
花が咲かない
カモミールを植えてはいけない理由の4つ目は、花が咲かないこと。
カモミールは、品種によって花の多さに違いがあります。
ジャーマンカモミールは花の数が多いですが、ローマンカモミールはジャーマンカモミールに比べて花の数が少ないです。
また、ノンフラワーカモミールという、花が咲かないカモミールがあります。
ハーブティーや鑑賞のために、カモミールの花をたくさん咲かせたい場合は、ジャーマンカモミールを選びましょう。
カモミールは日当たりの良い場所を好むので、日当たりが悪いと花が咲きにくくなります。
アレルギー症状が出る可能性がある
カモミールを植えてはいけない理由の5つ目は、カモミールを植えることにより、アレルギー症状が出る可能性があること。
ジャーマンカモミール・ローマンカモミールのどちらもキク科の植物です。
ヨモギやブタクサなどキク科の植物にアレルギー反応が出る人は、カモミールを植えるとアレルギー症状が出る可能性があります。
また、カモミールティーなどにしてカモミールを飲食する場合も注意が必要です。
カモミールは薬の相互作用を起こす可能性があります。
カモミールは、シクロスポリン(臓器移植の拒絶反応を予防するための薬)やワルファリン(血液をさらさらにする薬)と相互作用を有することが報告されています。また、カモミールは、理論上、他の薬剤とも相互作用を有するのではないかと考えられています。
引用元:厚生労働省eJIM
キク科アレルギーや日常的に服用している薬がある人は、カモミールを安易に植えたり飲食しないほうがよいと言えます。
カモミールを植えるときの対処法
カモミールをお庭に植えるときの対処法は、以下の4つ。
適した品種を選ぶ
カモミールを植えるときの対処法の1つ目は、お庭に適した品種を選ぶこと。
カモミールは種類によって性質が違うため、お庭や自分の好みに合った品種を選び、植え方を工夫することが大切です。
ジャーマンカモミールは直立性で草丈が高くなるため、成長したときに近くの植物への日差しをさえぎらない場所に植えます。
ローマンカモミールは匍匐性で横に広がるため、近くの植物の栽培スペースに侵入しないようにしましょう。
栽培スペースを区切ったり、鉢植えやハンギングバスケットで育てれば、カモミールが必要以上に広がるのを防げます。
花がら摘みをする
カモミールを植えるときの対処法の2つ目は、花がら摘みをすること。
カモミールが増えるのを防ぐにはこぼれ種が落ちる前に花がら摘みをしましょう。
ジャーマンカモミールの開花期間は3月から6月。
ローマンカモミールは5月から6月まで開花を楽しめます。
終わったカモミールの花から早めに摘んで、種ができないようにします。
摘んだカモミールの花は、フレッシュハーブティーにして飲むことができますよ!
ジャーマンカモミールは一年草で夏越しできないので、花がある程度終わったころにまとめて抜き取るのもおすすめです。
多年草のローマンカモミールの場合は、夏越しのための蒸れ対策を兼ねて、刈り込むとよいです。
剪定をする
カモミールを植えるときの対処法の3つ目は、剪定をすること。
剪定をすることで風通しがよくなるので病害虫予防になり、広がりすぎたり、大きくなりすぎるのも防げます。
ジャーマンカモミールは、草丈が15cmほどまで伸びた時に摘心をしてください。
摘心をすることで、背が高くなりすぎるのを防ぎ、花数を増やせます。
ローマンカモミールの場合は、伸びすぎた茎は切り戻して、他の場所へ根付くのを予防します。
害虫予防をする
カモミールを植えるときの対処法の4つ目は、害虫予防をすること。
植え付けのときや春に浸透移行性の殺虫剤を施しておくことで、カモミールに発生しやすい害虫の多くを予防できます。
しかし、カモミールの茎や葉が混み合うと害虫が発生しやすくなるので、こまめに剪定をして風通しをよくしておくことも大切です。
風通しをよくしておくことで、カモミールに発生しやすいうどんこ病の予防にもなります。
害虫が大量発生した場合は薬剤を散布して駆除しましょう。
肥料は少なめに、蒸れ予防に水やりも控えめにして乾かし気味に管理します。
まとめ
きちんと性質をわかっていれば、カモミールはお庭に植えても問題ないハーブです。
カモミールをお庭に植えるときに失敗しないためには、まず植物名の表示をしっかり確認してから購入しましょう。
カモミールは放置しなければ問題なく育てられるハーブなので、ぜひ育ててみてくださいね。
カモミールの育て方は、こちらの記事で詳しく解説しています。