カシスは一本だけでも実をつけてくれる自家結実性のある果樹で、樹高も1.5mほどでコンパクトなため栽培スペースが広くなくても育てられる植物です。
ビタミンCが豊富なカシスの実は、ジャムやジュースにしたり、お菓子作りや料理に使うことができます。
しかし、カシスは植えてはいけないと言われることがあります。
カシスは別名・クロフサスグリ(クロスグリ)。フサスグリが植えてはいけないと言われることがあるのです。
結論を言えば、カシスは植えても問題ありません。
ただし、カシスは育てるにあたって、やや難点がある植物です。
この記事では、カシスを植えてはいけない理由と対処法を解説します。
カシスを植えてはいけない理由
カシスを植えてはいけない理由は以下の5つ。
繁殖力が強いと言われる→誤解
カシスを植えてはいけない理由の1つ目は、繁殖力が強いと言われるから。
しかし、これは誤解です。
カシスはクロスグリやブラックカラントと呼ばれます。
クロスグリと似ている名前の植物に赤い実をつけるフサスグリがあり、フサスグリは繁殖力が強すぎて植えてはいけないと言われる植物です。
そのため、同じスグリ属であるカシスも植えてはいけないと言われている可能性が高いです。
カシスとフサスグリは同じスグリ属ですが、カシスは手に追えないほど繁殖力が強すぎて困ると言われる植物ではありません。
大きくなっても1m~1.5mほどで留まる低木のため、剪定が困難な高さまで育つこともなく、お庭に植えても問題ない植物です。
栽培が難しい
カシスを植えてはいけない理由の2つ目は、栽培が難しいこと。
日本でのカシスの生産は、青森県を筆頭に北海道・岩手県と寒い地域で行われています。
寒さに強い反面、高温多湿には弱く、涼しい地域以外では育てるのが難しい植物です。
カシスは日の当たる場所を好みますが、直射日光や強い日差し、極度な乾燥に弱いため冷涼地以外の場所では置き場所に困ります。
気温が30度以上になると、実のつきが悪くなり、枯れはじめてしまいます。
水切れすると実にしわができてしまうので、水切れは禁物。
しかし、水をやりすぎると根腐れしたり、梅雨~実が付き始める7月ごろには多湿でカイガラムシやうどんこ病が発生しやすくなります。
冷涼地以外の地域では正しいお世話をしていても、気候が合わないことが原因で枯れてしまったり、収穫までたどり着けない可能性が高いです。
そのため、園芸初心者や、夏の暑さが厳しい地域では植えない方が無難です。
実の収穫が大変
カシスを植えてはいけない理由の3つ目は、実の収穫が大変なこと。
カシスの実は熟すと落ちてしまったり、気温が30度以上になると実の発酵が始まるので、収穫期である7月中旬~8月上旬までの短い期間にたくさんの量の実を収穫しないといけません。
カシスの実は潰れやすく丁寧に収穫しないといけないので、手間と時間もかかります。
収穫が間に合わずに実が落ちると、落ちた実が潰れて地面が汚れてしまうため掃除も必要です。
更に、カシスの実は常温では2日しか日持ちしないため、収穫して余った実は冷凍保存する必要があります。
カシスの実は冷凍すれば1年~2年保存が可能です。
ただし、食べるにも保存するにも小さな枝やゴミを取り除く手間がかかります。
時間に余裕がないとカシスの収穫から保存までの作業は負担になってしまいます。
悪臭がする
カシスを植えてはいけない理由の4つ目は、悪臭がすること。
カシスの葉や茎は傷がつくと猫のおしっこの匂いと似た匂いを放ちます。
熟すまでの実も同じ匂いがするため、せっかく実がついても不快に感じてしまう可能性があります。
しかし、葉や茎を傷つけなければ無臭で、人によっては不快と感じない人もいるため絶対に植えてはいけない植物ではありません。
不吉な花言葉がある
カシスを植えてはいけない理由の5つ目は、不吉な花言葉があること。
カシスの花言葉には「あなたの不機嫌が私を苦しめる」「あなたに嫌われたら私は死にます」というネガティブな花言葉があります。
相手の行動が要因となっているネガティブな花言葉なので、パートナーや家族がいるお家にとっては良くないポイントといえます。
カシスを植える時の対処法
カシスを植える時の対処法は以下の3つ。
涼しい場所で育てる
カシスを植える時の対処法の1つ目は、涼しい場所で育てること。
カシスは暑さに弱いため、一年を通して涼しい場所での栽培が理想です。
そのため、冷涼地以外の地域では夏場に日除けを施したり、移動させやすい鉢植えに植えて、高温多湿によるダメージを減らす工夫が必要です。
剪定で枝や葉の風通しを良くして、午後は明るい日陰や半日陰の涼しい場所で管理をします。
カシスは日に当てないと色が悪かったり、美味しくない実になってしまうので、午前中はできるだけ日に当てて育てます。
注意点として、暑さの厳しい地域では工夫をして涼しい場所で育てても、実付きが悪かったりうまく育たない可能性があることを覚悟して育てましょう。
人通りの少ない場所に植える
カシスを植える時の対処法の2つ目は、人通りの少ない場所に植えること。
カシスが傷ついた時に発する、猫のおしっこの匂いと言われる悪臭は、葉に傷がついたり擦れただけでも感じられます。
そのため、人の通行のある場所の近くに植えて、通行人が葉に触れたりすると匂いによる不快感を与えてしまう可能性があります。
カシスの葉が通路にはみ出さない敷地内に植えておけば、剪定や強風などで枝や葉に傷がつかない限り、匂いによる不快感を与えずに済みます。
良い花言葉を意識する
カシスを植える時の対処法の3つ目は、良い花言葉を意識すること。
カシスの花言葉は不吉な言葉が目立ちますが、「あなたを喜ばせる」という良い花言葉もあります。
花言葉を気にしている場合は、良い花言葉を意識して植えましょう。
まとめ
カシスは、冷涼地以外では育てにくいものの、植えてはいけない植物ではありません。
カシスは環境が合っていれば、鳥害やさまざまな害虫による被害も少なく、とても育てやすい実のなる木です。
常温での保存が可能な期間が短い摘みたての生カシスを食べられるのは、栽培した人ならではの特権。
涼しい地域に住んでいる人や、少し難易度が高くても栽培にチャレンジしてみたい人はぜひカシスを植えてみてくださいね。