パッとわかる!ヤグルマギクの育て方
- 日当たりと水はけのよい環境があれば、手がかからず育つ
- こまめに花がら摘みをすると、長く花を楽しめる
ヤグルマギクは、まっすぐ伸びた茎の先にあざやかな花を咲かせる一年草です。
もともとは雑草なので、丈夫で手がかからず初心者の方でも気軽に育てられます。
カラーバリエーションも豊富で、切り花やドライフラワーとしても人気があります。
この記事では、美しい姿で楽しませてくれるヤグルマギクの育て方のコツをご紹介します。
ヤグルマギク(矢車菊)の詳細情報
植物名 | ヤグルマギク(矢車菊) |
学名 | Centaurea cyanus |
英名 | Corn flower |
科名 | キク科 |
属名 | ヤグルマギク属 |
園芸分類 | 草花 |
形態 | 一年草 |
樹高 | 30~100cm |
原産地 | ヨーロッパ |
開花期 | 4~6月 |
花色 | 青、紫、赤、ピンク、白 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 弱い |
ヤグルマギクはヨーロッパの麦畑やコーン畑に生える雑草として広く知られていたことから、英名は「Corn flower(コーンフラワー)」とつけられました。
原種はあざやかな青紫色で、その美しさから最高級のサファイアの色味を「コーンフラワーブルー」と表現するほどです。
ドイツ、エストニア、マルタ、フランスの国花であり、ヨーロッパではとてもポピュラーな植物です。
和名に含まれる「矢車(ヤグルマ)」は端午の節句の鯉のぼりの竿の先についていて、風を受けて回る飾りのことです。
小さな筒状の花が放射状に咲く姿と似ていることから、「矢車菊」と名前がつきました。
ヤグルマソウ(矢車草)と呼ばれていた時期もありますが、ユキノシタ科のヤグルマソウと区別するためヤグルマギク(矢車菊)で名称が統一されています。
ハーブやエディブルフラワーとしても楽しまれますが、食用にする場合は食用の品種の苗を育ててください。
ヤグルマギク(矢車菊)の育て方|購入から植え付けまで
入手方法と販売時期
ヤグルマギクは、種も苗も園芸店やホームセンターで手軽に入手できます。
種は一年中置いてあることが多いですが、種まき時期に合わせて購入してください。
中間地・暖地なら、9〜10月、寒冷地なら4〜5月が種まきの時期です。
苗は3月頃に多く出回るので、購入するときは茎がしっかりしていて葉がいきいきしたものを選びましょう。
用土
ヤグルマギクは湿気を嫌い、水はけのよい環境を好みます。
種まきは種まき用土を使いましょう。
鉢植えで育てる場合は、赤玉土と腐葉土を7:3の割合で混ぜたもの、または市販の草花用培養土を使用します。
地植えの場合は、植え付け前に腐葉土や堆肥をすき込みます。
水はけが心配な場合は、川砂を混ぜこみましょう。
酸性の土壌は苦土石灰で中和しておきます。
植え付け・植え替え
ヤグルマギクの種まきは、春咲きの品種なら9~10月に行うのが一般的です。
寒冷地は4〜5月に種まきをしましょう。
直まきもポットまきも可能で、土に1cmくらい穴をあけたら種を2~3粒まいて薄く土をかぶせます。
土が乾燥すると発芽しにくいので、種が流れない程度にこまめに水やりして半日陰で育ててください。
1週間~10日くらいで発芽するので、本葉が1~2枚出たところで元気なものを残して間引きします。
ポットまきの場合は本葉が6~8枚になったら、プランターや花壇に植え付けましょう。
ヤグルマギクは直根性で根が傷みやすいため、植え付けるときはあまり根をいじらないよう注意してください。
花が終わればそのまま枯れてしまう一年草なので、植え替えは必要ありません。
日当たり・置き場所
ヤグルマギクは水はけと日当たり、風通しのよい場所で育てます。
品種によっては大きく株が育ち横幅が広くなることがあるので、隣の植物との間隔に注意しましょう。
草丈が高くなる品種の場合は、風で倒れないよう支柱を立てると安心です。
ヤグルマギク(矢車菊)の育て方|日々のお世話
水やり
ヤグルマギクは乾燥ぎみの環境を好むので、水やりのしすぎには注意してください。
鉢植えの場合
土の表面を触ってみて、しっかり乾いていたらたっぷり水やりします。
地植えの場合
基本的には雨にまかせます。
何日も日照りが続き、茎や葉に元気がなくなってくるようなら水やりをしましょう。
肥料
ヤグルマギクはもともとは雑草なので、肥料はあまり必要としません。
肥料が多すぎると徒長して風などで倒れてしまう心配がありますので、控えめにしましょう。
鉢植えの場合
植え付け時に元肥として緩効性肥料を混ぜこみ、生育が始まる3月上旬くらいに置き肥をする程度で大丈夫です。
市販の培養土を使う場合は、すでに肥料が含まれていることが多いので元肥は必要ありません。
地植えの場合
肥料がなくても育ちますが、やせた土であれば植え付け時に元肥として緩効性肥料を混ぜこみましょう。
剪定・切り戻し
ヤグルマギクの草丈が15cmくらいになったら、先端の芽を摘みとります。
摘心することで、茎が横に広がって伸びて倒れにくくなります。
ヤグルマギクは開花期間が長いので、こまめに花がら摘みをしてください。
咲き終わった花をそのままにしておくと種を作るためにエネルギーを使ってしまうので、終わった花は花茎の元からカットします。
花がら摘みをすると次の花をどんどん咲かせてくれるだけでなく、株周りを清潔にしておくことで病害虫の予防にもなります。
夏越し
ヤグルマギクは花が終わり梅雨ごろになると枯れるので、夏越しはしません。
冬越し
ヤグルマギクは寒さに強いので、特に対策は必要ありません。
11月までに植え付けをして、根がしっかり張っていれば冬越しができます。
寒風に当たるようであれば、鉢カバーなどを使うと安心です。
病害虫
ヤグルマギクはあまり病害虫の心配はありませんが、立枯病・うどんこ病・アブラムシ・ヨトウムシが発生することがあります。
立枯病は連作障害で起こることがあるので、前年にキク科の植物を育てた場所は避けるようにしましょう。
うどんこ病は多湿で風通しがわるいと発生することがあるので、もし白く粉がふいたようになった葉があれば取りのぞきます。
アブラムシは3~5月に発生しやすいので、見つけたらすぐに駆除します。
ヨトウムシは葉の裏に卵を産みつけるので、卵があったら葉ごと取りのぞいてください。
もし卵がかえって葉が食い荒らされるようであれば、土の中に隠れている可能性が高いので駆除します。
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ヤグルマギク(矢車菊)の増やし方
ヤグルマギクは種で増やすことができます。
花が枯れてドライフラワーのようにカサカサになって実も茎も茶色くなったら、実をほぐして種を取りだします。
採取した種は密閉袋などに入れて、種まきシーズンまで保管しておきましょう。
まとめ
丈夫で育てやすく、美しい花を見せてくれるヤグルマギクについてご紹介しました。
花が完全に開いたら、茎ごとカットして風通しのよい日陰につるしておけば1週間ほどでドライフラワーにできます。
ヤグルマギクのあざやかなカラーは、ドライフラワーにしてもほどよく残って華やかです。
初心者の方でも簡単に育てられる植物なので、ぜひ挑戦してみてくださいね。