アオダモは剪定もあまり必要とせず、株立ちの自然な樹形が楽しめる人気の樹木です。
アオダモを一本植えただけで自然な雰囲気を楽しむことができ、四季の移り変わりを感じることができるのも大きな魅力です。
この記事では、アオダモの育て方について、ガーデニング初心者の方でもわかりやすく解説しました。
アオダモの詳細情報
植物名 | アオダモ |
学名 | Fraxinus lanuginosa |
英名 | Aodamo tree、Japanese ash |
科名 | モクセイ科 |
属名 | トネリコ属 |
園芸分類 | 庭木・花木 |
形態 | 高木 |
樹高 | 5m〜15m |
原産地 | 日本、北朝鮮など |
開花期 | 4月〜5月頃 |
花色 | 白、アイボリー |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
アオダモは日本や朝鮮半島などが原産の落葉樹で、別名ではコバノトネリコやアオタゴと呼ばれます。
アオダモは数年に1度、春に白い線香花火のような花を咲かせます。
夏は涼やかな緑が美しく、秋には葉が紅葉して落葉し暖かくなるとまた新しい芽が顔を出します。
日本の山などで自然に育ってきた樹木なので、日本の気候に強く環境に適応しやすいです。
アオダモは落葉樹です。
アオダモの木肌は灰色がかった色合いでとても美しく、雑木の庭に重宝され、シンボルツリーとしても人気です。
アオダモは雨が上がると樹皮の色が青緑色に変わり、枝を水に浸けておくと水が薄い青色に変わります。
アオダモは漢字で書くと「青梻」ですが、この「青」は色が変化する特徴が由来しています。
アオダモは強く粘り気のある材質をしており、バットやテニスのラケットに利用されていました。
アオダモの育て方|購入から植え付けまで
入手方法と販売時期
アオダモの種や苗木や植木は園芸店やホームセンター、インターネット通販で購入することができます。
アオダモの小さな苗木は800円程度で販売されていることがありますが、大きさにより値段に幅があり、大きく立派に仕立てられたアオダモは数万円にもなります。
自然のアオダモを山採りされたものも流通していますが、とても高価です。
用土
アオダモは水はけと水持ちのよい有機物の豊富な土を好みます。
庭植えの場合
アオダモを植え付ける2週間前に50cm✕50cm程度の穴を掘り、掘り起こした土:腐葉土:堆肥=6:3:1の割合でよく混ぜて寝かせます。
水はけがよくない庭土の場合は、腐葉土と堆肥の割合を多くするか赤玉土を混ぜる、または川砂や軽石またはパーライトを少し混ぜてください。
庭に植え穴を掘った際に水がしみ出てくる場合は、アオダモを植えても根腐れしてしまう可能性が大きいため、残念ですが場所の変更をしてください。
鉢植えの場合
アオダモを鉢に植える場合は、市販されている樹木にも使える培養土を使いましょう。
自分で配合する場合は、赤玉土:腐葉土=7:3の割合にします。
植え付け・植え替え
アオダモの植え付けと植え替えは11月〜12月頃と3月頃が適期で、落葉した休眠期に行うのがおすすめです。
葉っぱの残る時期に植え付けると、アオダモが枯れやすいので注意してください。
鉢植えのアオダモは3年程度を目安に、根詰まり防止のために植え替えましょう。
植え付け
庭植えの場合
しっかり根付くまでの3年程度は、土の乾燥をみてたっぷり水やりしてください。
- あらかじめ準備しておいた植え穴の⅓または半分程度土を戻します。
- アオダモの苗木を植え穴に置きます。
- 残りの土を戻し根元の周りにウォータースペースを作って、たっぷりのお水をあげます。
- 根元の周りの土を棒などでつついたりアオダモを優しく揺らして空気を抜いて土を足で踏み固めます。
- 支柱を立ててアオダモを支え、しっかり根付くまでの数年間は支柱を立てて保護しておきます。
鉢植えの場合
アオダモを鉢に植える場合は、8号以上の大きさの鉢に植え付けます。
- 鉢穴に鉢底ネットを敷いて、鉢底石や軽石を入れましょう。
- 鉢の半分程度まで土を入れたらアオダモの苗木を置き入れます。
- 残りの土を鉢のフチから3cmくらいの高さを残して戻し入れ、根元の周りにウォータースペースを作ります。
- たっぷりお水をあげたら根っこの隙間にも土が入るように棒などで土をつついておきます。
植え替え
アオダモを植え替える場合は、ひと回り大きな鉢に植え替えましょう。
古い鉢からアオダモを取り出したら⅓程度の土を落とし、新しく用意した鉢に植え付けます。
日当たり・置き場所
日当たりと風通しがよく、西日が当たらない場所で育てます。
庭に植える場合はアオダモの魅力である自然な樹形をより楽しむため、広い場所を確保するのがオススメです。
アオダモの育て方|日々のお世話
水やり
アオダモは庭植え鉢植えともに土が乾燥していたらたっぷりのお水をあげます。
庭植えの3年以上の大きなアオダモの場合は、乾燥に強いため水やりは自然に降る雨のみで大丈夫です。
乾燥が続きすぎるとアオダモは自分を守るために落葉してしまうので、冬以外で落葉していたら水やりをしてあげてください。
肥料
アオダモは肥料をほとんど必要としない樹木ですが、冬越しのために毎年2月〜3月頃に緩効性化成肥料や有機肥料を与えます。
剪定・切り戻し
アオダモの剪定は12月〜2月頃が適しています。
アオダモは自然樹形を活かすために「すかし剪定」を行います。
枝の込み合う場所を風が吹き抜けるようなイメージで風通しよく剪定します。
基本は古い枝やバランスの悪い枝を間引くように根元からカットしましょう。
剪定する枝は5種類ありますが、細い枝を間引くように軽く剪定して大丈夫です。
枝の名前 | |
---|---|
逆さ枝 | 木の内向きに伸びた枝 |
交差枝 | 枝と枝が交わっている枝 |
徒長枝 | ひょろひょろと上に伸びすぎた枝 |
立ち枝 | 横に伸びるべき枝に垂直に伸びた枝 |
ひこばえ | 根元から伸びる細い枝 |
アオダモは自然な樹形が人気の樹木ですが、放置すると5mほどの大きさになることがあるので注意してください。
ある程度高くなり高さを調整したい場合は、アオダモの1番高いところを希望する高さでカットして「芯止め」を行います。
芯止めした切り口には癒合剤を塗布し、雑菌が入らないよう保護しておきます。
ただし、アオダモが3m以上の場合はプロに任せるのが安心です。
夏越し
アオダモは暑さに強いですが西日と夏の直射日光を嫌います。
真夏の日光で乾燥しすぎると葉が落ちたり、黒く変色したりするので、水やりを増やしてあげましょう。
水をあげる時は土だけでなく、葉っぱにも水がかかるよう全体に水やりします。
ただし日中の水やりでは水が熱くなって土の中で根っこが痛むため、朝夕の涼しい時間に行ってください。
海の近くの地域で台風などの強風に晒された場合は、潮が原因で枯れてしまう事があるため、台風が過ぎたらアオダモ全体の潮をシャワーなどで落としましょう。
冬越し
アオダモは寒さに強いですが雪が積もると、枝が重さに耐えられず折れてしまう事があるので注意してください。
冬の水やりは普段より回数を減らして、暖かい時間に行ないましょう。
病害虫
アオダモは病害虫に強い樹木ですが、稀に褐斑病とテッポウムシの被害に遭うことがあります。
褐斑病
褐斑病は5月〜10月頃、特に湿気の多くなる梅雨に発生しやすい菌が原因の病気です。
原因菌は落葉した葉っぱに潜んで冬を越し、翌年の新しい芽に菌が付着して感染します。
幼木に発生しやすく、大きく成長すると褐斑病にかかりにくくなります。
褐斑病になると葉っぱに茶色っぽい斑点がたくさん見られるようになり、放置すると樹木全体の葉っぱが全て落ちてしまいます。
感染してしまったら落葉した葉っぱすべてを袋などに入れて処分し、褐斑病に効果のある薬剤を撒いて再発を予防します。
テッポウムシ
テッポウムシはゴマダラカミキリの幼虫で、成虫が幹の中に産卵して孵化し、幼虫が木の中を数年かけて食べてしまいます。
放置するとアオダモは死んでしまうため、なるべく早く見つけて駆除しましょう。
アオダモの根元にオガクズのようなものが落ちていれば、木の中にテッポウムシがいますので、薬剤を木の中に撒いて駆除します。
アオダモの増やし方
アオダモは挿し木と種の採取で増やすことができます。
挿し木
アオダモの挿し木に使う挿し穂には、剪定でカットした枝を使います。
剪定した枝を10cmほどにカットし、1時間ほど水上げして切り口に発根促進剤をつけて挿し床に挿しておきましょう。
種の採取
アオダモは5年程度に1回の頻度で種をつけるので、この時に種の採取が可能です。
6月〜7月頃に薄紅色の細長い実をつけ、少しずつ緑色に変化し9月頃には小豆色に変化します。
種の採取の適期は9月下旬〜10月ですが、10月中に採取した種の発芽率は9割と言われています。
採取したアオダモの種は少し乾燥させて、袋などに入れていれて密閉し冷蔵庫で保管します。
アオダモでよくある質問
アオダモを庭に植えるのにデメリットはありますか?
アオダモはとても育てやすく、見た目も美しい庭木です。
病害虫や暑さ寒さにも強いのが魅力。
デメリットがほとんどない木ですが、強いて言えば落葉樹なので落ち葉の掃除が必要なこと、花が地味だということなどが挙げられます。
アオダモのメリットとデメリットは、こちらの記事に詳しくまとめています。
まとめ
アオダモの育て方を紹介しました。
アオダモは自然な樹形が魅力的で、四季の色彩変化を楽しめます。
成長速度もゆっくりなのでコントロールもしやすい上に病害虫にも強いので、樹木に初めて挑戦する方にもオススメです。
アオダモの葉が風に揺れる音に耳を傾けると、とても穏やかで心癒やされますよ。