アガパンサスはまっすぐ伸ばした茎の先端に、淡い紫~青紫色の花を咲かせる花です。
梅雨ごろから夏まで花を咲かせるアガパンサスは、非常に丈夫な植物で、公園や花壇の植栽に良く利用されています。
一度植えれば、ほぼ手のかからない植物なので、花のお世話が初めての人でも簡単に長く育てられます。
今回は、アガパンサスの育て方と管理のコツを紹介します。
アガパンサスの詳細情報
植物名 | アガパンサス |
別名 | 紫君子蘭(ムラサキクンシラン) |
学名 | Agapanthus |
英名 | African lily |
科名 | ヒガンバナ科(ユリ科) |
属名 | ムラサキクンシラン属(アガパンサス属) |
園芸分類 | 草花 |
形態 | 多年草 |
樹高 | 30cm~150cm |
原産地 | 南アフリカ |
開花期 | 5月~8月 |
花色 | 紫、青紫、青、白 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
南アフリカ原産のアガパンサスは「アフリカンリリー」と呼ばれていますが、日本では「紫君子蘭」の名でも知られている多年草です。
紫君子蘭の和名の通り、君子蘭のように一本の茎の先に、複数の花を放射状に咲かせます。
主な花色は紫や青紫、青ですが、白の花を咲かせるアガパンサスもあります。
アガパンサスの原種は10~20種類、園芸品種だと300種類以上もの品種が存在します。
草丈30cm~40cm程度の小型の品種から、100cm以上にもなる大型品種まであるので、栽培スペースに応じて品種を選ぶことが可能です。
アガパンサスには常緑性と落葉性の品種があり、落葉性の品種の方が耐寒性が強い傾向にあります。
アガパンサスの育て方|購入から植え付けまで
入手方法と販売時期
アガパンサスは4月~6月、または9月~10月に苗を購入します。
アガパンサスの苗を購入する時は、葉が多くて大きな株を選びます。
小さな株で育てる場合、翌年まで花を咲かせない可能性があります。
アガパンサスは品種が多いので、大きさや性質を確認した上で購入しましょう。
特に、常緑性か落葉性のどちらにするかも、アガパンサスを選ぶ上で大事なポイントです。
落葉性のアガパンサスは寒さに強いので、寒冷地でも問題なく冬越しできますが、冬でも葉をつけたままの常緑性品種は霜や凍結対策が必要です。
用土
アガパンサスは水はけの良い土で育てます。
やせ地でも育つ植物で、土質を選ばないので、一般的な草花用の培養土で栽培可能です。
新しく土を作る場合も、赤玉土小粒と腐葉土を7:3で配合した土で育てます。
地植えの場合は、水はけが悪い場合は軽石や鹿沼土などを庭土の1割ほど混ぜて、排水性を良くします。
植え付け前に堆肥や腐葉土をよく混ぜておけば、肥料を混ぜなくても構いません。
植え付け・植え替え
アガパンサスの植え付けは4月から5月の間か、9月から10月の間に行います。
植え付ける時は根を傷めないように、根鉢を崩さず植え付けます。
アガパンサスは根張りが強く、株が大きくなるので、十分な生育スペースをとって植えましょう。
鉢植えの場合は、根が十分に伸びるよう、大きめの鉢に植え付けてください。
株間は品種に応じて、30cm~60cmほど開けて植えます。
アガパンサスの植え替えの適期は、植え付け時期と同じ4月から5月の間か、9月から10月の間です。
アガパンサスを植え替える頃合いは、アガパンサスの株の状態を見て判断します。
地植えの場合、5年~10年植えたままでも問題ありませんが、株が混み合うようであれば、植え替え時期に株分けします。
鉢植えの場合は根がよく育つため、根詰まりしやすいです。
鉢底から根が出た場合や、株が大きくなり窮屈になってきたら、新しい土に植え替えをします。
鉢を大きくしたくない場合は、株分けをして新しい土に植えてください。
日当たり・置き場所
アガパンサスは日当たりと水はけの良い場所で育てます。
日陰でも育てられるものの、花つきが悪くなるので、日当たりの良い場所で育ててください。
冬場は霜が降りたり、凍結しない場所が望ましいです。
アガパンサスの育て方|日々のお世話
水やり
アガパンサスは乾かし気味に水やりをします。
乾燥に強い植物なので、地植えの場合の水やりは基本的に降雨に任せます。
鉢植えのアガパンサスには、土が乾いたころを目安に鉢底から水が流れるまでたっぷり与えてください。
アガパンサスは多湿には弱く、根腐れしてしまうので、水のやり過ぎには注意しましょう。
肥料
アガパンサスは肥料がなくても育つ植物です。
地植えの場合は、堆肥や腐葉土をよく混ぜ込んだ土であれば追肥は必要ありません。
株を大きくしたい時や花つきを良くしたい時は、春と秋に1回ずつ少量の油かすや、化成肥料を施します。
鉢植えの場合は、植え付け時に元肥として緩効性化成肥料を混ぜ込んでおくと大きく育ちます。
鉢植えの追肥は4月~6月の間と9月~10月の期間中、月に1回の置肥か、2週間に1回液肥を施します。
剪定・切り戻し
アガパンサスに定期的な剪定は不要です。
ただし、花後に種をつけされると株が疲れてしまうので、種が必要ない場合は花がら摘みをしましょう。
アガパンサスの花が咲き終えたら種ができる前に、花茎の付け根から切り落とします。
夏越し
アガパンサスは高温乾燥に強いため、夏越し対策は不要です。
冬越し
常緑性のアガパンサスは防寒対策をして冬越しさせます。
常緑性のアガパンサスは、落葉性に比べるとやや耐寒性が低いですが、根が凍結しなければ-10℃まで耐えられます。
葉が枯れる前に、鉢植えを霜や凍結の心配がない場所に移動させます。
地植えの場合は腐葉土やバークチップなどを厚く敷いて、根が凍結しないように対策してください。
寒冷地の場合、鉢上げして日当たりと風通しの良い暖かな場所に移動させておくと安心です。
常緑性のアガパンサスは、できるだけ葉を傷めないようにしておくと、春以降の生育が早いです。
落葉性のアガパンサスは冬になると葉が枯れます。
葉が枯れてからも、根が残っていれば春に芽を出すので、そのままにしておきましょう。
病害虫
アガパンサスは病害虫の少ない植物です。
春にアブラムシがつくことがあります。
増えてきたら、薬剤散布で対処します。
アガパンサスの増やし方
アガパンサスは3月~4月、9月~10月の間に株分けで増やせます。
植え替える時に株分けを行うことで、株への負担を減らせます。
鉢や庭土から掘り上げたアガパンサスの株の根を、手や熱湯消毒済みの清潔なハサミを使って、1株に4~5芽を目安にして分けます。
あまり小さく分けると、花が咲かなくなってしまうので、大きめに分けましょう。
分けた株は新しい土に植え付け、たっぷり水を与えて管理します。
アガパンサスは種蒔きでも増やせますが、花が咲くまで3~5年以上かかります。
また、親株が交配種の場合、同じ花が咲かないことがあるので注意が必要です。
アガパンサスの花が終わった後、花茎をそのままにしておくと、サヤの中に黒い種ができます。
アガパンサスの種を採取できたら、種蒔き時期である4~5月か9~10月に、新しい土に蒔きましょう。
アガパンサスの育て方でよくある質問
アガパンサスの花が咲きません…。
アガパンサスは日陰や西日の当たる場所でも育ちますか?
まとめ
たくさん咲いたアガパンサスは切り花にもできるので、早めに摘み取って花瓶に挿しておけば、室内でもアガパンサスの美しい花を楽しめます。
病害虫も少なく、管理の負担が少ないので、植物のお世話が苦手な人でも栽培しやすい花です。
アガパンサスは1つの株でとても長生きしますから、栽培記録をつけるのもおすすめです。
毎年の成長を楽しめるアガパンサスを、ぜひ育ててみてください。