菊芋は生姜や里芋に似た形の塊茎をつけるイモ類のひとつ。
食用部分は11月~12月頃が旬で、高血圧や糖尿病によいことで話題になった野菜です。
菊芋は名前のとおり、菊のような花を9月~11月頃まで咲かせます。
食用部分は健康によく、花がかわいい菊芋ですが、植えてはいけないと言われます。
結論を言えば、菊芋は植える場所を制限すれば植えてもよい植物。
菊芋は要注意外来生物なので、むやみに増やさない植え方と管理が大切です。
この記事では、菊芋を植えてはいけない理由と対処法を解説します。
菊芋を植えてはいけない理由
菊芋を植えてはいけない理由は、以下の6つ。
要注意外来生物だから
菊芋を植えてはいけない理由の1つ目は、要注意外来生物だから。
菊芋は、地下茎で広がるキク科ヒマワリ属の多年草。
繁殖力が強すぎるため、要注意外来生物に指定されている植物です。
対策をせずに地植えしてしまうと、菊芋がどんどん繁殖していきます。
菊芋は他の植物の成長を阻害するほど広範囲に根を広げ、土の養分を吸い尽くしてしまうので、安易にお庭に植えてはいけません。
菊芋は地上部が大きくなりすぎるのも問題で、菊芋の草丈は2~3mにもなります。
地上部は茎が柔らかく強風で倒れやすいため、対策が必要です。
お庭に他の植物を植えている場合は菊芋を植える場所を考えないと、草丈が大きくなった菊芋が他の植物への日差しをさえぎってしまいます。
剪定もできますが、短くしすぎると枯れてしまうことがあるため、1m以上は残す必要があります。
収穫が大変
菊芋を植えてはいけない理由の2つ目は、収穫が大変なこと。
菊芋は「塊茎(かいけい)」と呼ばれる地下茎が肥大した部分を主に食用します。
そのため、収穫するときは他のイモ類と同じように、土の中の菊芋を掘り上げます。
菊芋の塊茎は細長く、厚みが3cm~6cm、長さは5cm~10cm程度。
さつまいもやじゃがいもに比べると小さく、地中の浅い場所につくため比較的掘り上げやすいです。
しかし、地中に菊芋のかけらが少しでも残っていると、地中に残っているかけらから根を出し繁殖します。
根茎を残さず取りきるのは難しく、何度掘り起こしても、掘り残した場所から新しい菊芋の芽が出てきてしまうという問題が起きます。
植えたままにできない
菊芋を植えてはいけない理由の3つ目は、植えたままにできないこと。
菊芋は連作障害が起きる植物です。
毎年同じ場所で育てていると菊芋の収穫量が減ったり、生育不良を起こしやすくなります。
菊芋は地植えにすると大繁殖するリスクがあるため、お庭の違う場所に移しての栽培は危険です。
更に、菊芋を植えたままにしていると野生化してしまいます。
野生化した菊芋は、塊茎が小さく、食用には不向きです。
花が咲かない場合がある
菊芋を植えてはいけない理由の4つ目は、花が咲かないこと。
菊芋は菊のような花を咲かせますが、種類や環境により花を咲かせないことがあります。
葉ばかり茂った菊芋は、雑草のような見た目で鑑賞に向かないため、花と収穫の両方を楽しみたい場合にはおすすめできない植物と言えます。
アレルギーに注意
菊芋を植えてはいけない理由の5つ目は、アレルギーに注意が必要なこと。
菊芋はキク科の植物なので、キク科アレルギーの場合は、花粉や食用することによりアレルギー症状が出る場合があります。
秋に花粉症の症状が出やすい人の場合は、キク科アレルギーの可能性があるので、菊芋を植える前にアレルギーの確認をしておくと安心です。
保存が難しい
菊芋を植えてはいけない理由の6つ目は、収穫した菊芋の保存が難しいこと。
菊芋は1つの株から20~30個以上もの塊茎を収穫できます。
しかし、菊芋は常温保存でおいしく食べられるのは収穫から1週間までが目安です。
菊芋の収穫から1週間を過ぎると干からびたり、カビが生えやすくなります。
そのため、冷蔵庫での保存が望ましいですが、大量に収穫した場合は置き場所に困ります。
消費が追いつかず廃棄するとなると、処分の手間や労力など負担がかかります。
菊芋を植えるときの対処法
菊芋をお庭に植えるときの対処法は、以下の5つ。
植える場所を制限する
菊芋を植えるときの対処法の1つ目は、植える場所を制限すること。
菊芋は土の養分をよく吸収するため、他の植物の養分まで吸い取ってしまわないように、仕切りを立てて栽培スペースを区切ります。
プランターでの栽培は、欲しい量だけ栽培しやすく、地下茎で必要以上に増えないおすすめの方法です。
菊芋は草丈が高くなって倒れやすいため、直径40cm・深さ30cm以上の大きく深いプランターで栽培します。
品種を選ぶ
菊芋を植えるときの対処法の2つ目は、品種を選ぶこと。
菊芋には塊茎が白い種類と、赤~赤紫色の種類があります。
赤紫色系の菊芋は花を咲かせにくいため、花の鑑賞も楽しみたい場合は塊茎が白い種類を購入しましょう。
花を早めに摘む
菊芋を植えるときの対処法の3つ目は、花を早めに摘むこと。
菊芋の開花時期は9月から10月です。
咲いた菊芋の花を放置してしまうと、花を咲かせたり種を作るために養分を使ってしまいます。
食用する塊茎への養分が減って、塊茎が大きくならなかったり、収穫量が少なくなります。
できた種が地面に落ちると、そこから芽を出して増えてしまう可能性があるので、花が咲いたら早めに摘んで繁殖を予防しましょう。
植えっぱなしにしない
菊芋を植えるときの対処法の4つ目は、植えっぱなしにしないこと。
菊芋は連作障害と野生化を防ぐために、植えたままにしないようにしましょう。
菊芋を同じ場所で続けて育てる場合は、毎年、腐葉土と堆肥を多めにすき込み、連作障害を予防します。
収穫後の管理に注意
菊芋を植えるときの対処法の5つ目は、収穫後の管理に注意すること。
収穫した菊芋は乾燥に弱くて傷みやすいため、土をつけたまま新聞紙に包み、冷蔵庫で保管します。
土を洗い流してしまうと、腐敗しやすくなります。
菊芋は土の中に置いておけば11月から3月ごろまで保存可能です。
食べる量だけ収穫することで、腐敗によるロスを減らせます。
菊芋の収穫後は、繁殖を防ぐために、地面に根や芋のかけらが落ちたままにならないよう掃除しましょう。
まとめ
菊芋は要注意外来生物に指定されるほど繁殖力が強すぎるため、地植えにしない方がよい植物です。
菊芋が増え過ぎると消費することも負担になってしまいます。
菊芋を植えるときは、まずは増えすぎる心配のないプランターで育ててみることをおすすめします。