パッとわかる!キンモクセイの育て方
- 過湿を嫌うので、水はけのよい土・土の表面が乾いたら水やり。
- きれいに開花するためには、定期的な肥料が必要。
- 毎年剪定して、風通し良くして病気予防に。
キンモクセイは、秋の訪れを知らせるのに甘い香りを放つ常緑樹。
多くの人々は、キンモクセイの甘く芳醇な香りが懐かしいと感じるでしょう。
昔から公園や道路の脇などによく植え付けられ、大きな樹木のイメージがありますね。
株のサイズが様々あるので、家のお庭でも鉢植えでも栽培可能!
この記事では、キンモクセイの育て方と管理のコツをご紹介します。
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キンモクセイの詳細情報
植物名 | キンモクセイ(金木犀) |
学名 | Osmanthus fragrans var. aurantiacus |
英名 | Fragrant orange |
科名 | モクセイ科 |
属名 | モクセイ属 |
園芸分類 | 庭木・花木 |
形態 | 高木 |
樹高 | 5~8m |
原産地 | 中国南部 |
開花期 | 9~10月 |
花色 | オレンジ |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
キンモクセイは、秋に開花し甘い香りを放つモクセイ科の常緑樹。
オレンジ色の小花が枝に密生して咲かせ、花が日差しを受けると黄金色に見えるようです。
その姿の「金」と属名の「モクセイ」を組み合わせてキンモクセイと名付けられました。
キンモクセイは、原産の中国から渡来したもので、本来は雌雄異株(雌花と雄花をそれぞれ別の株につける)。
花とその香りを鑑賞するのにキンモクセイの場合は雄株が選ばれ、雄株が多く輸入されたという話があります。
そのため国内ではほとんど雄株なので種を作ることができませんが、キンモクセイは挿し木で容易に増やせるのです。
キンモクセイは、過湿が苦手で肥沃な土を好む性質があります。
元肥入りの水はけのよい土に植え付けて、水やりは土が乾いた時だけでOK。
元肥だけでは開花のエネルギーが足りなくなるので、定期的に肥料を与えます。
キンモクセイは1年に15cmほど伸びるほど生育が早いので、すぐ枝が混みあってきます。
毎年剪定をすることで、樹形・生育の調整や病害虫の予防にもなります。
キンモクセイの育て方|購入から植え付けまで
入手方法と販売時期
キンモクセイは、苗木を園芸店やネット通販で購入することができます。
花咲く前の苗木が、9~11月に多く出回ります。
キンモクセイの種類は3つ。
種類 | 花色 | 香り | 開花時期 |
キンモクセイ(基本種) | オレンジ色 | 強い | 秋 |
四季咲きキンモクセイ | 基本種より薄い色 | 弱い | 春、秋 |
紅花キンモクセイ | 赤みの強いオレンジ色 | 強い | 秋 |
キンモクセイは、木が若いうちにはまだ花をつけません。
ゆっくりと生長を楽しむのであれば、樹齢が若くてもよいでしょう。
植え付けて花を楽しむのであれば、高さ50cm以上、幹の太さ2cmほどの苗を選ぶのがポイント。
用土
キンモクセイは、水はけがよく肥沃な土で育ちます。
鉢植えなら、市販の花木用培養土でOK。
地植えなら、掘った土に腐葉土と元肥をすき込んでくださいね。
植え付け・植え替え
キンモクセイは、樹高5mほどなので地植えが一般的です。
植え付けタイミングは、3~4月または9~10月。
購入した根鉢のサイズより一回り大きい穴を掘って植え付け。
植え付けたらたっぷりと水やりをしましょう。
しばらくは、根が張っていないためぐらつきます。
支柱を差して様子見ながら管理してくださいね。
植え替えは、鉢植えなら2~3年に1回、3~4月が適期。
地植えの植え替えは、必要ありません。
日当たり・置き場所
キンモクセイは、日当たりと風通しの良い場所で育ちます。
寒さにやや弱いので、冬の風が直接当たらないような場所に置くと安心。
車の通りが多い場所など、大気が汚れている環境下では花つきが悪くなってしまいます。
キンモクセイの育て方|日々のお世話
水やり
キンモクセイは、過湿を嫌います。
鉢植えなら、土の表面が乾いたらたっぷりと水やり。
地植えなら、根付くまでは水やりが必要ですが、根付いた後は雨水に任せるのみ。
真夏の極度な乾燥が続いたときは水やりをしてあげましょう。
肥料
キンモクセイは、大きく育つために肥料が必要です。
肥料の与え方は、鉢植えか地植えかによって異なります。
鉢植えの場合、2月に寒肥、5月に追肥、9月に花肥の3回。
地植えの場合、休眠期の2月に寒肥の1回のみ。
キンモクセイに与える肥料は、緩効性化成肥料か有機質肥料がおすすめです。
生育中に枯れそうな様子が見られたら、応急処置として液体肥料を与えてもよいです。
液体肥料は速効性はありますが、持続性がないので注意してくださいね。
剪定・切り戻し
キンモクセイは、年に15cm伸びるほど生長が早いです。
そのため、2~3月または、花が終わった後の11月に剪定します。
- 11月の花後に軽くカット
- 2~3月に樹形を整えてカット
キンモクセイは、春から夏の間は開花に向けて準備します。
その芽を付ける時期に剪定すると、花数が減少したり咲かなくなることも。
なるべくその時期は剪定を避けることが、花を楽しむポイントです。
剪定に困ったら、プロに頼むのが安心です。
夏越し
キンモクセイは、暑さに比較的強いです。
ただ、真夏において乾燥しすぎると、水切れを起こしてしまいます。
夏は、土の表面を確認しながら水やりをこまめにしましょう。
冬越し
キンモクセイは寒さに弱く、寒冷地では戸外での冬越が難しいです。
移動が可能な鉢植えならば、冬に入る前に室内に取り込めば栽培可能です。
ただし、室内で管理する際は日光を確保できていることがカギになります!
東北地方より南の地域なら、冬越の作業はありません。
病害虫
キンモクセイは、風通しの悪い環境になると病害虫が発生しやすくなります。
主に、褐斑病(かっぱんびょう)、カイガラムシ。
褐斑病は、葉に茶色の斑点ができてしまうカビ系の病気。
その褐斑病の症状がひどくなると、落葉します。
病気になってしまった葉は放置しても治ることはないので、切落してください。
カイガラムシは、葉や茎に寄って植物の養分を吸い込む害虫です。
見た目は1~10mmほど小さな虫で、姿はさまざま。
見つけたらすぐ、ブラシなどで落としておきます。
病害虫対策として、枝が混みあっていたら剪定して、風通しを良くします。
市販の薬剤を使用することも効果的です。
キンモクセイの増やし方
キンモクセイは、挿し木で増やせます。
挿し木タイミングは、5~7月が適期。
新梢(今年新しく伸びた枝)が充実してきたら根本カット。
カットした新梢をしばらく水に浸けて、枝の断面に発根促進剤を塗ります。
枝を挿し木用の土に挿して、乾燥させないようにこまめな水やりをしましょう。
翌年3~4月まではそのまま生育させて、新芽が確認できたら好きな場所に定植。
その間は特に冬の霜には注意して管理すると、成功率が上がります!
まとめ
キンモクセイは、育て方は簡単ですが、開花時期がわずか1週間ほど!
短い期間であるにもかかわらず、人々はキンモクセイの香りが強く印象に残っているものです。
秋の訪れを知らせてくれるキンモクセイをぜひ育ててみてくださいね。