パッとわかる!タチアオイ(ホリホック)の育て方
- タチアオイは広めの場所や深い鉢で育てましょう。
- 庭のタチアオイは水やり不要、鉢植えのタチアオイは土が乾燥してからお水をたっぷりと!
- 暑さと寒さに強く丈夫なため初心者にもおススメです。
梅雨の始まる頃に一番下の花が咲き、梅雨明けのころに一番上の花が咲くことから「梅雨葵」とも呼ばれます。
通勤途中の空き地に、ピンと空へ向かって伸びるタチアオイに元気をもらった思い出があります。
タチアオイの花は日に日に下から上へと咲き進み、たくましく伸びゆく姿を楽しむことができますよ。
この記事では、タチアオイ(ホリホック)の育て方について、ガーデニング初心者の方でもわかりやすく解説しました。
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タチアオイ(ホリホック)の詳細情報
植物名 | 立葵(タチアオイ) |
別名 | ホリホック |
学名 | Althaea rosea |
英名 | Hollyhock |
科名 | アオイ科 |
属名 | タチアオイ属 |
園芸分類 | 草花 |
形態 | 多年草、一年草 |
樹高 | 2m |
原産地 | 地中海沿岸西部地域〜アジア |
開花期 | 6月〜8月頃 |
花色 | 白、ピンク、赤、黄色、黒、紫、アプリコット、複色 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
タチアオイの原産地は地中海やアジアと言われていますが、詳しくは分かっていません。
タチアオイの花にはハイビスカスのような一重咲きや豪華な八重咲き、2m伸びるものから60㎝くらいのもの、色も華やかなものから黒や紫とあらゆる魅力を楽しめます。
品種により多年草、一年草と二年草もあり、花の咲くタイミングが異なるので購入するときは気を付けましょう。
タチアオイの株は数年で枯れてしまうので、種の採取やこぼれ種で増やすのがオススメです。
タチアオイの別名は「梅雨葵」のほかに「ハナアオイ」、子供がタチアオイの花を鼻につけて遊んだことから「コケコッコの花」と呼ばれます。
タチアオイ(ホリホック)の育て方|購入から植え付けまで
入手方法と販売時期
タチアオイの種と苗は、園芸店やホームセンター、インターネット通販で購入できます。
種はいつでも購入でき、苗は植え付け適期前の4月頃と9月頃に購入できます。
タチアオイが販売されるときは、学名の「アルセア」や「ホリホック」「コケコッコ花」で販売されることがあります。
苗はポットの底から根っこが見えるような、勢いのある苗を選びましょう。
品種によって伸びる高さが全然違うので、植える環境によって品種を選んでください。
一重咲きのタチアオイは園芸店やホームセンターに取り扱いがない場合があるため、お店に問い合わせるかインターネット通販の利用がおススメです。
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用土
水はけと通気性のよい土を好みます。
庭植えの場合
タチアオイを庭で育てる場合、ほかの植物が健康に育っていれば特に問題はありません。
改めて土を作る場合は2週間前に腐葉土をよく混ぜて寝かせます。
水はけが心配であれば軽石、パーライトをよく混ぜ込み、土質の酸性が強い場合は石灰を混ぜておきましょう。
鉢植えの場合
草花用培養土を使用しましょう。
自分で土を配合する場合は、赤玉土:腐葉土:パーライト=6:3:1が目安です。
種まき
タチアオイの種まきは、3月〜5月頃と9月~10月頃が適期です。
発芽温度は15℃〜20℃、発芽率は84%で2週間ほどで芽が出ます。
タチアオイの種まきの時期には、3つのターンがあります。
形態 | 種まき時期 | 開花時期 |
---|---|---|
一年草 | 3月〜4月頃 | 種まきの年の夏に開花 |
9月〜10月頃 | 種まきの翌年の夏に開花 | |
二年草 | 4月〜5月頃 | 種まきの翌年の夏に開花 |
タチアオイの種は、庭に直接植えるか育苗ポットに植えます。
育苗ポットは5号以上の大きさがおススメです。
種まきの前に種を一晩水に浸しておきます。
植え付け場所に5mmくらいの穴を作り種を2~3粒入れます。
タチアオイの種は発芽するときに光が必要な「好光性種子(こうこうせいしゅし)」のため、種には薄く土をかぶせましょう。
育苗ポットであれば、発芽まで木漏れ日くらいの明るさの場所に置きます。
土が乾燥しないよう霧吹きで水をあげてください。
タチアオイの葉が元気に数枚出てきたら、花だんや鉢に植え替えましょう。
植え付け・植え替え
タチアオイの植え付けと植え替えは、3月〜5月頃と9月〜11月頃が適期です。
植え付け
タチアオイは丈夫でぐんぐん大きくなるので、庭や花壇に植え付ける場合、広い場所を確保します。
鉢に植え付ける場合は10号以上の大きさで、深さのある鉢に植え付けてあげましょう。
タチアオイの株間は30~50㎝、矮性の丈の低い品種は20~25cmにします。
タチアオイの根は傷つけると弱ってしまうため、根鉢を触らず植え付てください。
植え付け後はたっぷりお水をあげましょう。
タチアオイの高さが20cmくらいになったら支柱を立ててください。
植え替え
タチアオイは根が傷つきやすく植え替えは苦手です。
庭のタチアオイは植え替えはしないほうがよいでしょう。
鉢植えのタチアオイを植え替える場合、1~2年に1回行います。
できる限り根に負担をかけないよう注意しましょう。
日当たり・置き場所
タチアオイは気温15~25℃で育ち、日当たりと風通しの良い場所を好みます。
鉢植えのタチアオイは多湿の環境では根腐れを起こしやすいので、雨の日は屋根の下などに移動させてあげましょう。
タチアオイ(ホリホック)の育て方|日々のお世話
水やり
タチアオイは土を乾燥気味にすることを意識して育てます。
タチアオイは多湿に弱いので土のジメジメが続かないよう注意してください。
庭植えのタチアオイの水やりは、植え付け後はたっぷりと、根付いたら自然に降る雨のみで元気に育ちます。
鉢植えの場合は土の表面が乾燥したのを確認してから、鉢の底から水が出てくるくらいたっぷりお水をあげましょう。
肥料
タチアオイは肥料をあまり必要としていません。
植え付け前の元肥と、タチアオイの様子をみて必要であれば開花前に追い肥を与えます。
元肥
タチアオイの植え付け前に、土に緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきましょう。
追い肥
開花前の4月頃に緩効性化成肥料を苗の周りに置くか、2週間に1回の頻度で液体肥料を施してください。
剪定・切り戻し
タチアオイは花がら摘みと切り戻しを行います。
花がら摘み
タチアオイは咲き終わった花がらや枯れた枝葉をこまめに摘み取り多湿を防ぎます。
花がらをそのままにしておくとカビが発生することがあるので気をつけましょう。
種を取りたい場合は、いくつかの花がらはそのままにします。
切り戻し
一年草のタチアオイは種の採取後は枯れてしまうので、切り戻しは必要ありません。
二年草と多年草のタチアオイは、開花後または種の採取後の切り戻しが必要です。
種を取らない場合は花が全部咲いた後に、種を採る場合は必要量を採取したら、タチアオイの茎を1/3以下くらいに切り戻します。
切り戻すとまた新しく芽が出てくるので、冬越しをして来年の開花を楽しみに待ちましょう。
夏越し
タチアオイは夏の暑さに強いので夏越しで気を付けることは少ないです。
庭植えのタチアオイは特に何もしなくて大丈夫です。
鉢植えのタチアオイは乾燥しやすいため、朝夕2回の水やりをしてください。
冬越し
タチアオイは寒さに強いので関東以西の冬越しは、特に注意することはありません。
冬になると葉は枯れますが、根っこは土の中で休んでいます。
庭植えの場合
寒さの厳しい地域では根が凍ったり霜に当たるのを防いでください。
タチアオイの株の根元に腐葉土やワラ、新聞紙などを敷くと土を保温することができます。
鉢植えの場合
鉢植えのタチアオイは暖かい日向に置いてあげましょう。
水やりの頻度は減りますが、土の乾燥を確認したらお水をあげてください。
病害虫
タチアオイは比較的病気に強い植物ですが、以下の病害虫の被害に遭うことがあります。
- ハマキムシ
- ヨトウムシ
- アブラムシ
- 炭そ病
- モザイク病
ハマキムシ
ハマキムシは真冬以外の時期に発生します。
タチアオイにはハマキムシがつきやすく、葉っぱをクルクル巻いたり自分で出す糸で葉をつづり、葉の周辺には小さな黒い糞がついています。
クルクルの葉っぱの中にハマキムシは住みつき、夜になると葉っぱや新芽を食べてしまい生育が悪くなります。
ハマキムシはクルクル巻いた葉っぱの表面に約200個の卵を産み、14日で卵から孵って1か月でサナギになります。
発生してしまったら
クルクルの葉っぱで冬越しまでしてしまうため、クルクルの葉っぱを見つけたらすぐに葉っぱごと取り除きましょう。
できれば取り除いた葉っぱごと踏みつぶして捕殺してください。
大量発生している場合はハマキムシに効果のある薬剤を使用します。
薬剤をまく時は葉の表面だけでなく、クルクルの葉っぱの中にも撒きましょう
ヨトウムシ
ヨトウムシはガの幼虫で昼間は土の中に潜み、夜になると出てきて葉や茎などを食べてしまいます。
ヨトウムシは3月〜10月頃に繰り返し発生し、葉っぱの裏などに白くて丸い卵を200個程度も産みつけます。
1週間ほどで卵から孵って幼虫になり、1ヶ月半ほどでさなぎになります。
春〜夏に孵化したヨトウムシは、初夏〜秋に成虫になって卵を産みます。
秋に孵化したヨトウムシは、越冬して次の春に成虫になって卵を産みます。
発生してしまったら
ヨトウムシの卵のついた葉っぱを切り取って処分します。
ヨトウムシに効果のある薬剤を撒いたり、幼虫であればペットボトルと米ぬかを使ったトラップで駆除することができます。
アブラムシ
アブラムシは春頃のタチアオイに発生しやすく、葉っぱや新芽から養分を吸い取ってしまいます。
発生してしまったら
見つけたら水で薄めた牛乳を霧吹きで吹きかけて窒息させるか、指などでつぶします。
大量発生のアブラムシには薬剤を使用してください。
炭そ病
肥料のあげすぎ、水はけと風通しが悪いと発病するカビが原因の病気です。
水やりや雨のしずくや泥はねから感染拡大することがあります。
炭そ病になると葉に茶色っぽい斑点ができ、病気が進むと斑点の真ん中に穴ができます。
発病したら
水はけのよい土に作り直し、枝葉を整理して風通しをよくします。
泥はねを防ぐために土にマルチングマットを敷くのもオススメです。
モザイク病
モザイク病はウイルスが原因の病気で春〜秋の晴れた環境で発生します。
残念ながらモザイク病にかかると治すことはできません。
モザイク病になると葉っぱにモザイクのような模様が現れ、病気が進むと葉が変形したり腐ったりして枯れてしまいます。
発生してしまったら
残念ですがタチアオイの株ごと処分してください。
作業する時は健康な植物へウイルスを感染させないよう注意し、使用した手袋やハサミなどはすぐ消毒しましょう。
モザイク病の原因となるウイルスはアブラムシが運んでいるので、アブラムシを駆除することがモザイク病予防になります。
タチアオイ(ホリホック)の増やし方
タチアオイは種の採取と株分けで増やすことができます。
種の採取
タチアオイが咲き終わったら、いくつかの花を枯れるまでそのままにしておきます。
次第に種の入った部分が茶色くなるので、弾け飛ぶ前に種を採りましょう。
採取したタチアオイの種は、封筒などに入れて冷蔵庫などで保管します。
株分け
多年草のタチアオイの株分けは3~4月、10~11月が適しています。
植え替えをするタチアオイは、株分けを一緒に行うともできます。
タチアオイを庭から掘り出したり鉢から抜き取る時は、根っこを傷つけないよう注意してください。
3つくらいの芽を1つの株になるようカットして、根っこもつけて植え付けましょう。
植え付けしたら水やりをして、鉢植えであれば明るい日陰に置いてあげます。
まとめ
タチアオイ(ホリホック)の育て方を紹介しました。
タチアオイは乾燥気味に育てることと、日当たりと風通しを気を付ければ簡単に育てられます。
ハイビスカスのように鮮やかに目を引くタチアオイは、梅雨のうっそうとする気持ちをパッと元気にしてくれますよ。